セールスフォース・ドットコムは2月28日、顧客対応支援クラウドサービス「Salesforce Service Cloud Einstein」に加わった「Einsteinケース分類」「Einstein Next Best Action」を解説した。同社サービスは春夏冬の年3回、バージョンアップしているが、今回は2月12日に提供を開始したSpringリリースの新機能をデモンストレーションを交えながら説明した。
同社は自社製サービスの各所に、CRM(顧客関係管理システム)のデータをもとにした人工知能(AI)を活用した、顧客中心主義を実現しているが、マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 早川和輝氏は「最近はAIではなく広義の意味で顧客やエンドユーザーをアシストする存在『CRMアシスタント』と呼んでいる」という。
セールスフォースの説明によれば、昨今はカスタマーサービス部門の重要性が高まっているという。「LTV(顧客生涯価値)の窓口となるカスタマーサービスは、購入前や購入後など顧客と多くの接点を持ち、コミュニケーションの入り口となる」(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 大森浩生氏)からこそ、オペレーターが抱える課題は多い。

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 早川和輝氏

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 大森浩生氏
たとえば緊急性を要する問い合わせなのか、収益につながる質問なのかを最初に判断するのは現場のオペレーターだが、それだけに一定のスキルが求められる。だが、昨今は労働人口減少といった社会背景に加えて、過労やトラブルに伴う離職率の増加など、カスタマーサービス業界が人材難に苦しんでいることは改めて述べるまでもない。
このような背景を踏まえたセールスフォースは、AI支援による自動化で、反復的なタスクやデータ入力といった単純作業からオペレーターを開放させるため、Service Cloud Einsteinを提供してきた。同社は今回の機能強化で「顧客との関係構築や複雑なタスクに専念し、顧客の気持ちに寄り添うことで働きがいやKPI(評価指標)の向上などにつながる」(大森氏)と説明する。
Einsteinケース分類は、過去の問い合わせを指す“ケース”をデータとしてAIモデルを構築し、エンドユーザーからのメールやウェブ経由の問い合わせへの対応を半自動化する機能だ。

「Einsteinケース分類」の概要