スカイディスクは3月19日、福島LIXIL製作所と共同で「スマート聴診棒 振動版」の実証実験を2018年12月7日から2カ月間にわたって実施したと発表した。これは、振動センサ、AI(人工知能)分析、スマートフォンアプリを用いて、機械の異常や経年劣化を診断するもの。
福島LIXIL製作所は、ドアや収納などの内装建材を製造する企業。これまで設備が故障すると、製造ラインの復旧に時間がかかり、目標生産量が達成できないという問題があった。生産技術の現場担当者は、故障を予知して事前に整備することの必要性を感じていたという。
特に整備を希望したのは「高速ミーリング機」「モルダ」と呼ばれる2種類の製造設備。両設備とも定期的なメンテナンスはしており、壊れる前に振動や音の変化があることは分かっていたが、予兆を検知できるのは熟練した技術者に限られていた。そこで同社は「スマート聴診棒 振動版」の利用に踏み切ったと話す。
(出典:スカイディスク)
対象機器のデータ取得風景(出典:スカイディスク)
スカイディスクは、ミーリングのモータ2台、モルダのモータ3台の振動データを取得し、AI学習モデルを作成。異常スコアと境目となる値を設定した。AIによる判定の精度を高めるため、判定結果を知らせるアプリと振動センサを用いて一日一回データを取得した上で診断を開始。また、熟練技術者がAIの誤診を指摘することで、精度を彼らのレベルに近づけようと試みた。
同社によると、福島LIXIL製作所は、アプリの使いやすさや画面の見やすさを評価し、現在は導入に向けて前向きに検討しているという。スカイディスクは、診断の精度を高めるため、測定箇所を見直し、サンプル数の増加に向けて実証実験の期間を延長すると述べる。また、スマートフォン上だけでなく、生産技術の現場担当者がPCから診断結果を確認できる機能を追加すると語っている。
取得データの可視化画面イメージ(出典:スカイディスク)