川崎市上下水道局は、機械学習技術を用いて水道管路の状態を解析し、破損確率を可視化する取り組みを開始した。米国シリコンバレーに拠点を置くベンチャー企業FRACTA(フラクタ)の水道管路劣化予測技術を使い、その精度を検証する。
同社は、インフラ劣化予測のソフトウェアサービスを提供する企業である。水道管の破損や漏水が年間24万件ほど発生しており社会問題となっているという米国で、16州にわたる30以上の水道会社にサービスを提供してきた。
同社技術は、人工知能(AI)や機械学習のほか、地理土壌、気候といった約1000項目のデータを用いて全配管の破損確率を算出する。地中にある水道管の劣化具合を正確に評価することで、最も破損確率が高い配管の交換を可能にするという。結果として、配管の破損や漏水を最小限に抑えることができ、水道管路整備にかかる膨大な費用を最適化できると考えられている。
日本市場での販売は、FRACTAの代理店である鋳鉄品メーカーの日本鋳鉄管と共同で行う。両社は日本市場での適用準備に向けて、2018年9月にパートナーシップ契約を締結している。川崎市上下水道局の水道管路情報と各種データの収集、分析によって2019年末ごろまでに解析を進め、日本版アルゴリズムの構築を目指す。アルゴリズムの有効性を検証し、国内への適用準備を完了させ次第、日本鋳鉄管が日本市場での販売を展開する予定だ。