日本IBMは、米国で開催した年次イベント「Think 2019」で発表した「AIデータベース」ビジョンを解説する事業戦略説明会を3月26日に開いた。北米データセンターでクラウド型のデータウェアハウス(DWH)「IBM Db2 Warehouse on AWS」のFlexプランの提供を3月末から開始することを米国に先駆けて明らかにした。今後はMicrosoft Azureなど他のパブリッククラウドへの展開も予定している。
クラウド事業本部 Data and AI事業部 Products & Solutions統括部長 村角忠政氏は人工知能(AI)時代におけるAIデータベースを通じて「顧客の業務アプリでAI化を促進したい」と事業戦略をつまびらかにした。
日本IBMは企業におけるAI活用の段階として、日本企業の94%はAIが競合他社との差別化に不可欠な要因と認識し、AI OCRやチャットボット、画像認識を使用しつつ、他業務への横展開に取り組んでいる。だが、業務プロセスにAIを組み込んで活用しているのは「米国調査だが、20社中1社のみ」(村角氏)にとどまるという。
日本IBM クラウド事業本部 Data and AI事業部 Products & Solutions 統括部長 村角忠政氏
この業務プロセスにおけるAI活用を加速させるため、同社はAIデータベースを推進剤に位置付けた。同社ではAIデータベースについて、ワークロードの最適化などを含む「Powerd by AI:AIを組み込んだデータベース」と、業務システムにAIを組み込む「Build for AI:AIを生み出すためのデータベース」の2つに区分する。
“AIを組み込んだデータベース”は他社も取り組んでいるアプローチだが、“AIを生み出すためのデータベース”は「業務システムにAIやML(機械学習)を組み入れることでビジネスを加速させる」(村角氏)アプローチであると説明しつつ、AIデータベースに組み込まれる代表的な3機能を披露した。
「Data Virtualization(データ仮想化)」は、点在する複数のデータソースをDWHなどに集約させることなく、仮想的にデータを統合する技術。従来であれば、分析するために各データをデータストアにコピーしなければならず、ハードウェアや時間的コストが発生していた。
だが、Data VirtualizationはデータソースとなるセンサデータにAIモジュールを追加することで、データ同士のルーティング探索を可能にする。その結果、コスト削減や分析の単純化、最新データへのアクセスが可能になるという。
Data Virtualizationの概要