SecureWorks Japanは5月14日、社長交代を含む組織変更と事業戦略を発表した。人事では6月に代表取締役社長として廣川裕司氏が就任する。現職のJeff Multz氏は会長に就任する予定だが、8月をめどに米国本社(ジョージア州アトランタ)に帰任し、以後は本社から日本の事業をサポートしていくという。
同日の記者会見に登壇したMultz氏は、同社のグローバルでのミッション「私たちは卓越した情報セキュリティサービスを提供することでお客さまを保護します」というものであることを紹介し、日本事業のミッションが「グローバル規模と能力の恩恵を受けながら、日本法人を日本に根ざした企業として運営することだ」と説明した。今回の廣川氏への事業継承も、「日本に根ざした企業」という観点で行われたものだという。
SecureWorks Japan 代表取締役のJeff Multz氏
Multz氏は、2015年の就任から4年半で実行した戦略として、「ESTABLISH:組織として立ち上げる」「SURVIVE:生き残る」「FLOURISH:繁栄させる」「INTERRUPT:時に立ち止まる」「GROWTH/EXPANSION:成長と拡大」の5段階だったと振り返った。
なお「INTERRPUT」の意味について同氏は、「破壊的なイノベーションをもたらすということ」と説明し、その具体例として、2015年11月の「Red Teamテスト」サービスや2016年6月の「標的型攻撃ハンティング」サービスの日本導入などによって、それまで日本のセキュリティー市場には存在しなかったサービスを持ち込むことにより既存市場を破壊し、作り替えたとした。結果として、同氏の着任時点と比較すると、社員数は10倍、売上規模は40倍に成長したという。
日本市場への注力を継続するという
新任の廣川氏は、同社事業の「次の5年をどうするか」ということで、「5年で5倍以上」という経営目標を掲げた。「日本市場で情報セキュリティサービス分野のトップ企業となることを目指す」とした。同氏は、2008年から約8年に渡ってレッドハットを率いたことで有名だが、直近の2年間はホートンワークスジャパンの執行役員社長を務めていた。
SecureWorks Japan 社長に就任する廣川裕司氏
SecureWorks Japanへの参画について廣川氏は、「会社がなくなっちゃったから」と語り、ClouderaとHortonworksの合併が直接の理由だったとしている。その後、Hortonworksと同様のビッグデータ処理関連の企業を検討していたところでSecureWorksからのアプローチを受け、「(ビッグデータより)こちらの方がよりホットだという印象を受けたこと」で就任を決意したと語った。
同社事業の4本柱は、「GRC/SRC:セキュリティーリスクコンサルティングサービス」「MSS:マネージドセキュリティーサービス」「TI:セキュリティー上の脅威情報提供サービス」「IMR:インシデント管理対応サービス」で、コンサルタントやセキュリティー運用監視センター(SOC)のエンジニアなど、高度な技術知識を備えた人材によるサービス提供が中核となることから、事業規模の拡大と人材確保が直結する重要課題となる。
廣川氏による今後の日本での施策
この点についてMultz氏は、グループ企業であるDell Technologies傘下の各社などからも広範に人材を集めると同時に社内の教育体制も充実させており、例えば、日本で採用したセキュリティー技術者を米国本社に派遣して研修を行うなどの対応も行なっているという。廣川氏も今後は競合各社との人材確保の競争が激化すると認識した上で、「GPTW(Great Place To Work:働きがいのかる会社)」を目指すことで有為な人材をひきつけると同時に、「限られた人数でより大きなことをやる」とも語っており、生産性の向上にも取り組む姿勢を見せた。