クラウドとエッジの強みで“3本柱”を推進--アカマイ新社長の山野氏

國谷武史 (編集部) 2019年05月16日 15時14分

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 アカマイ・テクノロジーズは5月16日、2019年の事業戦略説明会を開き、3月に職務執行者社長に就任した山野修氏が、クラウドとエッジの基盤を生かしたセキュリティーとネットワークサービスの拡大に注力すると表明した。

2019年3月に職務執行者社長に就任した山野修氏
2019年3月に職務執行者社長に就任した山野修氏

 山野氏は、マカフィーやEMCジャパン(現Dell EMC)、RSAセキュリティ(同)の日本法人トップを歴任。アカマイが米マサチューセッツ工科大学発ベンチャーとして創業した当時から注目していたといい、「ウェブやクラウドの普及に伴うセキュリティーの重要性の高まりと同時に、5Gなどネットワーク環境も変化している中で就任要請をいただき、参画を決めた」と語った。

 現在のアカマイは、139カ国の約1000都市に24万台以上のサーバーを展開する。分散型コンピューティング基盤のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を利用したウェブやメディアの事業を中核としているが、近年はこれに付随する形でのサイバーセキュリティー関連事業の割合が拡大。山野氏自身はIT業界で約30年の経験を持つが、約20年はサイバーセキュリティー分野で活動している。

 こうした経緯から山野氏は、2019年の事業戦略では(1)サイバーセキュリティー、(2)メディア配信、(3)ウェブパフォーマンス――の“3本柱”に注力すると表明。それぞれの領域を担当するプロダクト責任者が施策を説明した。

2019年事業戦略の重点テーマ
2019年事業戦略の重点テーマ

 まずサイバーセキュリティーでは、コンシューマーユーザーなどに向けたオンラインサービスを標的にする分散型サービス妨害(DDoS)攻撃や、ユーザーアカウントとパスワードの組み合わせで不正ログインを試みる「リスト型」攻撃の脅威が台頭していると指摘した。対策サービスとして提供するウェブアプリケーションファイアウォールの「Kona」では、攻撃検知ルールの自動アップデートやポリシー設定の簡素化による運用性の向上を図るほか、100万件以上のユーザーIDを抱える企業向けにIDなどの管理を容易にするクラウドサービス「Akamai Identity Cloud」を展開していく。

 併せて企業向けのセキュリティーでは、「ゼロトラスト」の概念に基づくID管理と認証、アクセス制御、マルウェア対策、アプリケーションパフォーマンス最適化の機能を包括的なクラウドサービスとして強化する。

 「ゼロトラスト」は、従来のインターネットと企業内ネットワーク(LAN)の境界部分を中心にセキュリティー対策を講じる方法から脱却し、ネットワークの種類などに左右されることなく、常に正しいユーザーが許可されたアプリケーションなどを適切に利用しているかをチェックすることで、安全性を確保するという概念になる。従来方法の考え方は、境界部(LANの入口)で脅威を排除することでLAN内の安全を確保するというものだったが、現在はユーザーがアプリケーションへアクセスする際のネットワークの種類が多様化しており、この考え方に依存したセキュリティー対策方法が実態に合わなくなってきた。

 山野氏は、「以前からLANやオンプレミスを重視するセキュリティー対策に限界を感じていた。働き方改革への取り組みなどを踏まえ、今後はSaaSやクラウドインフラの使用比率がますます高まり、企業投資の比重もクラウドに移っていく」と述べ、この「ゼロトラスト」型のセキュリティーニーズの高まりに対応していくとの考えを示した。

 メディア配信では、2018年に同社CDNのトラフィックが過去最大の72.7Tbpsに到達したという。企業のデジタル変革への取り組みを背景に、動画データなど高品質コンテンツの利用が増え、コストも増していることから、2019年はユーザー企業専用のキャッシュ領域などを提供する「Cloud Wrapper」サービスや、Cloud Wrapperとコンテンツのオリジンサーバー間を専用線接続する「Inter Connect」サービスを提供する。これにより、大量ユーザーの同時接続におけるさらなる低遅延化とデータ転送コストの低減、トラフィックの安全性の確保を図るとしている。

 ウェブパフォーマンスでは、動画コンテンツの品質を確保しながらデータサイズを最適に圧縮して配信する「Video Optimization」や、API接続の最適化と安全性を確保する「Akamai API Solution」、機械学習を利用して大量のサードパーティーコンテンツを含むウェブページの表示を高速化する「Akamai mPlus & Iron」、IoTデバイスとクラウド間でのMQTTプロトコルによる大量データの転送処理を最適化する「Akamai IoT Edge Connect」に注力する。

2019年後半以降では、ID管理やIoT、ブロックチェーンを新領域として推進していくという
2019年後半以降では、ID管理やIoT、ブロックチェーンを新領域として推進していくという

 また、新領域への取り組みの1つとして、4月に三菱UFJフィナンシャル・グループと合弁で新会社「Global Open Network Japan(GO-NET)」を設立。秒間最大100万超のトランザクション処理と2秒以内の決済完了スピードを特徴とするブロックチェーン技術をアカマイの基盤上で利用する金融サービスを2020年から提供するとしている。

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