ウェブ配信サービスのアカマイ・テクノロジーズは2月15日、2018年の事業戦略を発表した。企業向けのリモートアクセスサービスを新たな成長事業の柱にする方針を表明した。
アカマイ日本法人の2013年と2017年の売上構成の変化。2017年に1%だった「エンタープライズ」向けでは2018年にリモートアクセスサービスの比率を高めていく
記者会見した職務執行者社長の徳永信二氏によると、同社の主力事業は、2013年時点では動画コンテンツなどのウェブ配信と配信の最適化ソリューションの2つだったが、2017年はこれらに付随するセキュリティサービスを加えた3つになった。この間に顧客企業数は263社から561社に増え、売上高も2.35倍増加したという。
2018年は、企業のクラウド採用の拡大や「働き方改革」によるテレワーク需要といった市場動向を踏まえ、4つ目の成長事業として企業向けのリモートアクセスサービスを本格化させる。
既に、2017年後半にクラウドサービスへの接続を含む統合ID管理や認証、アプリケーション配信の「Enterprise Application Access(EAA)」と、セキュリティ脅威情報にもとづく不正サイトへの接続を遮断する「Enterprise Threat Protector(ETP)」の2つのサービスを立ち上げ、営業活動をスタート。初期ユーザーとしてマネックス証券などを傘下に持つマネックスグループに採用されたことを明らかにした。
リモートアクセスサービスの概要
シニア・エンタープライズ・ソリューション・エンジニアの田中愁子氏によると、マネックスのケースでは、社内の仮想サーバにアカマイのEAAサービス基盤へ接続するためのコネクタを構築し、Active Directoryと連携させている。社員ユーザーは、オフィス外からEAAのサービス基盤とコネクタを経由して社内の業務システムや自席のPC、クラウドアプリケーションを利用するという。
またETPでは、社員ユーザーがエージェントをインストールしたPCから各種システムへ接続することで、フィッシングサイトやマルウェア配信サイトなどへ誘導されないように対策を講じる。接続情報などのログをETPで収集、解析し、管理者にアラートする仕組みも提供する。田中氏は、従来のLANの内外でセキュリティ対策上の境界線を定める方法では不十分とし、ユーザー単位で対策を講じる必要性を提起した。
なお既存事業では、2017年に買収したデジタル配信管理のSOASTAの技術を利用した監視分析機能の強化や4K/8Kの高精細動画配信への対応強化、低遅延化対策の推進、DevOpsを意識した高負荷トラフィックのテストサービス、API通信の保護などに注力するとしている。
マネックスグループでの導入イメージ