ジェムアルト買収のタレス、クラウド向けセキュリティー事業を展開

國谷武史 (編集部)

2019-05-21 15:50

 フランスのThales Groupの日本法人タレスジャパンは5月21日、4月に買収を完了したGemaltoのサイバーセキュリティー事業に関する今後の方針を発表した。認証や暗号化関連製品の提供を継続しつつ、企業顧客のクラウド移行に対応したサービスにも注力するとした。

 Thales Groupは、防衛や航空宇宙、交通、デジタルサービスなどを68カ国で展開し、グループ売上高は約190億ユーロという。日本には1970年に進出し、主に防衛関連事業を行ってきた。Thales Groupは、2017年12月にオランダが本拠のGemaltoの買収を発表し、2019年4月に完了した。

ジェムアルト買収によりタレスジャパンの国内事業の半分をサイバーセキュリティー関連事業は占めるようになるという
ジェムアルト買収によりタレスジャパンの国内事業の半分をサイバーセキュリティー関連事業は占めるようになるという

 旧Gemaltoは、ICカードやSIMカードなどのセキュリティー事業を主力としていたが、2016年に米Safenetを買収して、ハードウェア暗号モジュール(HSM)や鍵管理、認証、ソフトウェアライセンス管理などの事業を統合した経緯がある。今回のThalesによる買収では、一部事業の再編が行われるものの、Safenet時代からのこれら事業が継承された形となっている。同日の記者会見でタレスジャパン代表取締役社長のCyrille Dupont氏は、「デジタルのアイデンティティーとセキュリティーを手掛ける部門になる」と、Thales Group内での位置付けを説明した。

 Gemalto出身でタレスジャパン クラウドプロテクション&ライセンシング事業本部長に就任した中村久春氏は、ID管理や認証、データ保護などGemalto時代からの事業を継続しつつ、「デジタル変革を背景に企業顧客のクラウド移行が加速しており、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドに対応する統合型のセキュリティーソリューションも展開していく」と表明。今後は従量課金型のHSMのクラウドサービスなどを予定しているという。

従来製品はオンプレミス環境向けの認証とデータ保護が主力だったが、今後はマルチクラウド向けのサービスにも注力する
従来製品はオンプレミス環境向けの認証とデータ保護が主力だったが、今後はマルチクラウド向けのサービスにも注力する

 また会見には、Thales側の暗号化製品群「Vormetrics」の国内販売を2016年から手掛けるキヤノンマーケティングジャパン セキュリティ事業企画本部長の山本昇氏も登壇。2018年時点で国内の暗号化および鍵管理製品市場におけるシェアは3.5%だったといい、今回のGemalto買収に伴う販売チャネルの拡大などを追い風として2021年にシェアを10%に引き上げたいとした。

タレスジャパン代表取締役社長のCyrille Dupont氏、クラウドプロテクション&ライセンシング事業本部長の中村久春氏、同シニアテクニカルスペシャリストの畑瀬宏一氏、キヤノンマーケティングジャパン セキュリティ事業企画本部長の山本昇氏(左から)
タレスジャパン代表取締役社長のCyrille Dupont氏、クラウドプロテクション&ライセンシング事業本部長の中村久春氏、同シニアテクニカルスペシャリストの畑瀬宏一氏、キヤノンマーケティングジャパン セキュリティ事業企画本部長の山本昇氏(左から)

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