調査

デロイト、DX時代の技術トレンドを発表--企業のデジタル戦略はどうあるべきか

藤本和彦 (編集部) 2019年05月28日 06時30分

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 デロイトトーマツグループは5月24日、企業のデジタル変革に向けた技術トレンドをまとめたレポート「Tech Trends 2019 日本語版」を発行した。日本語版では、グローバルで毎年発表しているレポートに、日本独自の動向と見解を加えて解説している。

 Tech Trendsは、グローバルで10回目、日本版では5回目になる。今回は「デジタルフロンティアを超えて次のステージへ」を掲げ、企業が真のデジタル変革を実現するための最先端の技術トレンドとして8つのテーマを取り上げている。具体的には以下の通りになる。

  1. テクノロジーマクロフォースの拡大
  2. 人とAI(人工知能)が協働する組織
  3. サーバーレスがもたらす運用作業のいらないNoOpsの世界
  4. 次世代コネクティビティー
  5. インテリジェントインターフェース
  6. 進化するマーケティング:顧客体験の再考
  7. DevSecOpsとサイバー規制
  8. デジタルフロンティアを超えて次のステージへ

 Tech Trendsではこれまで、クラウド、アナリティクス、デジタルエクスペリエンス、コグニティブ、ブロックチェーン、デジタルリアリティー、コアモダナイゼーション、ビジネスオブテクノロジー、サイバーリスクの9つを“マクロフォース”として取り上げてきた。これらは個別で独立したものではなく、今後はますます互いに切り離せない関係になるという。

 ちなみに、デロイトでは、デジタル変革(DX)について「デジタル技術を活用して企業の競争優位を追求すること」と定義していると、最高技術責任者(CTO)の安井望氏は話す。

デロイトトーマツグループ CTOの安井望氏
デロイトトーマツグループ CTOの安井望氏

 多くの日本企業は、最先端の技術を追求した実証実験(PoC)ばかりをしている。それ自体が悪いわけではないが、ビジネスとデジタル技術をうまく融合させることができず、PoCから先に進まない状況に陥っている。また、独自システムやカスタム機能が多い日本と標準化を重視する海外では、IT基盤が基本的に異なり、これをすぐに変えることは難しい。

 こうした状況を踏まえた上で、デジタル変革を成功に導くためのポイントは「企業文化を変えること」だと安井氏は指摘する。

 AI活用に関しても日本と海外で違いが見られる。日本では自動車の自律走行など、技術面にばかり注目が集まりがちだが、海外は人間の能力を拡張するAIの可能性が多く模索されている。「グローバルは現実解を見ている」(安井氏)とし、人間とAIの組み合わせで何ができるのかを考えることが重要だと話す。

 ITインフラの領域では、サーバーの管理を不要にする「サーバーレス」の導入が広がっている。運用保守にかかる時間が減少することで、ビジネス成果を生む新しい活動に予算と人的資源を割り振れるようになる。しかしながら、IT業界を取り巻く日本特有の構造によって、思うように進んでいないのが実態だ。海外では、基本的に自社内のエンジニアがシステムを管理しており、その効率化を進めるための手段として、NoOps体制が推進されているという。

 次世代コネクティビティーについては、第5世代移動通信システム(5G)が話題の中心となっている。デロイトでは、2020年末までに世界の通信事業者51社が5Gサービスを提供開始すると見込んでいる。ネットワークに接続されるデバイスが爆発的に増加するほか、エッジコンピューティングへの取り組みが本格化すると予想する。

 拡張現実や仮想現実(AR/VR)は仮想空間の領域だけではなく、新たなインプット/アウトプットの仕組みとして大きな可能性を秘めている。音声やコンピュータービジョンなど、これから現れるさまざまなインターフェースが果たす役割を模索すべきだと強調する。特に、顔認証技術の導入が進んでおり、顧客サービスの向上などに生かされている。

 近年は顧客が主導権を握っている。無数の選択肢とチャネルが存在する中で競争力を維持するためには、差別化された顧客体験を生み出すとともに、ブランドエンゲージメントに対する顧客の期待に一貫して応えなければならない。次世代のマーケティングでは、「Decisioning(意思決定)」「Delivery(デリバリー)」「Data(データ)」の3つが基本になるとし、これらを組み合わせたプロセスをいかに自動化するのかが重要になると安井氏は説明した。

 DevSecOpsとは、DevOpsのプロセスの各段階にセキュアな文化や慣習、ツールを取り入れた自動化の動きを意味する、と安井氏は解説する。環境変化にすぐ対応できるようにしている点が特徴。ソースコードの段階でセキュリティーを担保することで、開発サイクルの早い段階でセキュリティー脆弱性を発見し、手戻りを回避するといったメリットがある。

 デジタル変革の活動を将来のあるべき姿と対応付けられれば、破壊的な変化に対して圧倒的に優位な立場に立てるとする。その一方で、多くの企業では特定の技術にフォーカスしてしまっているのが実情という。技術基盤の刷新と並んで、企業文化の変革・醸成に取り組んでいかなければ、日本企業は海外に負けてしまうと安井氏は警鐘を鳴らした。

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