AIが「市民」になる時代へ--ビジネスに創造的破壊をもたらす5つの技術トレンド

藤本和彦 (編集部) 2018年06月01日 07時00分

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 アクセンチュアが発表した「テクノロジービジョン 2018」は、今後3年間でビジネスに創造的破壊をもたらす重要な技術トレンドを予測した年次調査レポート。2018年のレポートでは、「インテリジェントエンタープライズの勃興:自社を『再定義』する」をテーマに、「人工知能(AI)を市民に」「拡張現実」「データの信ぴょう性」「摩擦ゼロビジネス」「インターネットオブシンキング」を技術トレンドとして定義した。

 まず、5つのテクノロジトレンドの概要は次の通り。

  • AIを「市民」に(Citizen AI)
    AIの能力が高まるにつれ、人々の暮らしに大きな影響が及ぶようになってきている。AIの潜在能力を引き出そうとする企業は、その影響を認識し、AIが自社の象徴として行動できるように「育てる」ことが必要となる
  • 拡張現実(Extended Reality)
    仮想現実(VR)と拡張現実(AR)などの技術は、人々とのつながり、情報や経験を得る際の距離を取り除くことで、人々の暮らしや働き方を変えようとしている
  • データの信ぴょう性(Data Veracity)
    データを活用して自らを変革する中、企業は新たなタイプの脆弱性に直面している。信ぴょう性を欠くデータや、恣意(しい)的に操作されたデータ、偏ったデータによって、間違った知見を持ち、偏った判断を下すリスクにつながる。こうした課題に対応するには、信ぴょう性を最大限に高め、恣意(しい)的なデータ操作につながる危険性を最小限に抑えるという二重の対策が必要となる
  • 摩擦ゼロビジネス(Frictionless Business)
    企業の成長はテクノロジをベースとしたパートナーシップにかかっている。しかし、従来の経営システムは大規模なパートナーシップに対応するようにできていない。社会との融合を強め、テクノロジの力を最大限に発揮するために、企業はまず自らを再構築しなければならない
  • インターネットオブシンキング(Internet of Thinking)
    企業は、ロボティクスや、AI、没入型体験などを自社のバリューチェーンに組み込むことで、大きな賭けに出ようとしている。しかし、こうした環境を実現するためには、従業員のスキルや組織体制を強化するだけでなく、現在のテクノロジ基盤を刷新する必要がある
アクセンチュアが発表した5つの技術トレンド
アクセンチュアが発表した5つの技術トレンド

 アクセンチュアでは、レポートの作成に当たり、日本を含む世界25カ国、6300人以上の企業や組織の上級役職者およびIT担当役員を対象に調査を実施。その5分の4以上(84%)が「自社はテクノロジを使って人々の暮らしに入り込みつつある」と回答したという。

 また、同じく同社が実施した「ディスラプタビリティインデックス調査」によると、世界中の63%の企業が創造的破壊を経験、44%の企業が創造的破壊の兆候を強く感じているという。「あらゆる業界で創造的破壊が日常的に起こっている」(アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 テクノロジーアーキテクチャ グループ マネジング・ディレクター 山根圭輔氏)

人とAIが互いの長所を生かして“協働”

アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 テクノロジーアーキテクチャ グループ マネジング・ディレクター 山根圭輔氏
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 テクノロジーアーキテクチャ グループ マネジング・ディレクター 山根圭輔氏

 Citizen AIに関しては、AIの得意領域を見極めた上で、人とAIが協働するプロセスを再構築する必要があるという。「AIは単に人の仕事を奪う存在ではなく、人の能力を拡張するためのサポーター。人とAIが協働することで単独時よりも高い成果が見込める。互いの得意分野を生かした起用が重要になる」と山根氏は指摘する。

 ちなみに、人が得意とする領域は「課題定義」「抽象的な問題の取り扱い」「共感」「ルール定義」「柔軟な対応」「社会適合性判断」など、AIが得意とする領域は「スピード」「知識量」「24時間労働」「安定したサービスレベル」「大量データの解析/検知」「機械との対話」などとなっている。

 SMBC日興証券では、コールセンターにAIを活用することで業務の効率化と顧客サービスの向上を目指している。顧客からのLINE経由での問い合わせに、まずAIチャットボットが回答し、解決できない質問のみをオペレーターが応答する仕組みを構築した。オペレーターの応答をAIエンジンが学習することで、応答能力を自動的に強化することが可能。問い合わせの数が増加する中でも、オペレーターの業務量を削減できたという。

 山根氏はAIについて、「特定領域では人を大きく超えるパフォーマンスを発揮する、いわゆるスペシャリスト」と説明する一方、AIの判断について透明性を持った説明責任と法的責任を明確化し、AIならではの新たな攻撃・脅威に備える必要があると話す。

 その上で、AIが「市民」とし活躍できるよう、人と同様にさまざまな観点から“育てる”ことが大切になるとした。

AIの活用基盤として、アクセンチュアは「AI Hub」を提供する
AIの活用基盤として、アクセンチュアは「AI Hub」を提供する

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