仮想デスクトップ技術を提供するCitrix Systemsは、Windowsデスクトップとアプリケーションの仮想化から、モバイルとクラウドのトレンドを受け「ワークスペース」へと事業領域を広げつつある。同社でWindowsアプリケーションデリバリ担当プロダクトマネジメントおよびストラテジックパートナー担当バイスプレジデントを務めるNabeel Youakim氏に、最新のCitrixの戦略や技術トレンドについて話を聞いた。
――”ワークスペース”コンセプトをプッシュしている。Citrixのメッセージは何か?
市場は急速に変化している。コンピューティングモデルが変化しており、ユーザーはこれまでのWindowsアプリケーションだけではなく、ウェブアプリケーション、モバイルアプリなど従来とは異なるアプリケーションを利用したいと思っている。
また、エンドポイントとなるデバイス側も変化している。数年前までデスクトップ中心だったのが、タブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスが利用されている。Citrixではこれを、物理的なデスクトップからワークスペースへの移行と考えている。
デスクトップはタブレットなどのデバイスとともにワークスペースの一部となり、さまざまなアプリケーションの種類もこの概念に含まれる。Windowsアプリケーション、SaaS、ウェブアプリケーション、モバイルアプリなどだ。Citrixは、これらのアプリケーションを同じインフラで配信できるアプリケーションデリバリ技術を提供する。バーチャルなので、どこからでもどのデバイスからでも環境にアクセスして、作業ができる。オフィスに縛られることはない。
これは、最高経営責任者(CEO)や最高技術責任者(CTO)のニーズを満たすものだ。CEOは生産性や競争優位性の改善を考えており、CTOは技術的な解決策を得られる。
――具体的な製品戦略、クラウドへの対応
これらを実現するのが「XenApp」「XenDesktop」などだ。
現在、1000万種類以上のアプリケーションがXenApp上で動いており、XenAppを利用するユーザーは120万人。多いように聞こえるかもしれないが、Microsoftは市場にあるWindowsデスクトップの数を13億台としており、まだまだわれわれはスタート地点だと思っている。もっと多くの人にCitrixの技術を体感してもらえる。
取り組みとしては、まずは既存のXenApp、XenDesktopの顧客に、Windowsアプリケーションだけでなく、ウェブアプリケーションやモバイルアプリでも使ってもらう。
Citrixの技術がもたらすメリットは大きく4つある。1つ目はアプリケーション管理だ。すべてのアプリケーションをサーバに集め、集中管理できる点は大きな付加価値になる。2つ目は性能。CIOはアプリケーションのユーザー体験――どこからでもアクセスでき、正常に動作するかどうか――を気にしている。われわれのソリューションでは、アプリケーションとユーザーの間でインターフェイスのみを配信すればいいので、高速に動かせる。
3つ目はアクセス。PCでもiPadなどのタブレット端末でも利用できるという優れたアクセス性だ。4つ目はセキュリティ。これは業界を問わず大きな問題となっており、経営者にとって重要な課題となっている。Citrixではデスクトップで動いているすべてのアプリケーションをサーバに動かすことができ、そこでデータをロックダウンできる。
以上の4つのメリットは、いずれも現在のITの課題となっているが、Citrixはずっと以前から実現してきた。
新しいトレンドであるクラウドについて、顧客は現在のワークロードをクラウドにすべて移行するか、部分的に移行するのかを考えているところで、段階的なアプローチをとったり、ハイブリッドで動かすというところが多いようだ。
CitrixではXenApp、XenDesktopに加えて、オンプレミスで構築している環境からクラウドをプラットフォームに利用してアプリケーションを動かすことができる。クラウドとは、提携関係にあるMicrosoft Azure、IBM SoftLayer、Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウド、それにプライベートクラウドも含む。