ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)「Nutanix」などを開発するNutanixは5月7日から3日間、米アナハイムで年次ユーザーカンファレンス「.NEXT Conference 2019」を開催。世界から5800人以上が登録し、日本からは200人以上が参加。セカンダリストレージの運用を実現する「Nutanix Mine」をはじめ、プライベートクラウドとパブリッククラウド向けのサービス拡張を新たに発表している。
6月21日に開かれた日本法人ニュータニックス・ジャパンの記者会見でコーポレートバイスプレジデント兼社長 町田栄作氏は「2016年9月にはNASDAQに上場し、今年で10周年を迎えた。お客さまのご愛顧とパートナーやクラウドビルダーに支えられながら次の10年を目指す節目の年」とビジネスの進捗を語った。
ニュータニックス・ジャパン ソフトウェアテクノロジーセンター テクニカルエバンジェリスト 島崎聡史氏は「われわれの『エンタープライズコンピューター環境をインビジブルに』の方向性は変わっていない」ことを強調。.NEXT Conference 2019での発表内容を、HCI領域を意味する「Core」、そのCoreの周辺にあるオンプレミスやハイブリッドクラウドなどの領域である「Essentials」、挑戦的領域となる「Enterprise」の観点から説明した。
ニュータニックス・ジャパン コーポレートバイスプレジデント 兼 社長 町田栄作氏
ニュータニックス・ジャパン ソフトウェアテクノロジーセンター テクニカルエバンジェリスト 島崎聡史氏
Core領域における新技術「Autonomous Extent Stores(AES)」は、NVMeやRDMA、不揮発メモリーなど次世代のハードウェアを見据えて、データを蓄積する各ノードにメタデータを配置する2階層方式を採用。最大で2倍の秒間トランザクション数とレイテンシー低減を実現する。
また、グローバルパートナーであるHewlett-Packard Enterprise(HPE)のx86サーバ「HPE ProLiant」、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などのワークロードに対応する「HPE Apollo」をベースにしたHCI専用機(アプライアンス)「DX」シリーズをNutanixが提供する。HPEのサービスメニューとして、ハイブリッドクラウド基盤での従量制課金で利用できる「HPE GreenLake」でNutanixソフトウェアが利用できるようにする。もう一つのグローバルパートナーである富士通とは2018年から実施していた欧州とインドへの展開をグローバルへ拡充する「PRIMERGY on Nutanix」が説明された。
Essentials領域では、Nutanixファブリックにバックアップ&アーカイブ機能を追加するNutanix Mineを発表した。Veeam Softwareなどバックアップベンダーとパートナー連携したアプライアンスとなる。構成は96TB(2U)と192TB(4U)の2種類だが、スケールアウトが可能。Veem版とHYCU版は2019年後半に登場予定。Nutanixの独自OS「Acropolis OS(AOS)」とバックアップソフトウェアのライセンスを含めた提供される。
「Nutanix環境はもちろん従来のアーキテクチャ環境もバックアップ対象。オンプレミスにデータをアーカイブする価値がない場合は、“Nutanix Buckets”などに移動可能」(島崎氏)
ファイルサーバーの「Nutanix Files」は、データの増加とストレージ消費傾向や、大量のファイル削除や権限を持たないファイルへのアクセスなどユーザー行動の異常検知、検索、監査機能を新たに実装する。前述したNutanix Bucketsは「Amazon S3」互換のオブジェクトストレージ。島崎氏は「数十億単位のオブジェクトを複数のロケーションにまたがって格納できる」とアピールした。