チームコラボレーションの中心にあるのはコンテンツ
Dropboxは現在、グローバルで有料ユーザー数が一千数百万人、無料登録ユーザーを合わせるとおよそ5億人に利用されており、これまで個人向けを中心にサービス展開してきた。さらにここ数年は企業向けにもサービスを提供し、個人向け市場で磨き上げてきたユーザービリティを売り物に契約数を伸ばしているという。
その企業向けサービスについては、2019年3月7日掲載の本連載「Dropbpx Businessの強化でコラボレーションツール市場は大激戦へ」で取り上げているので参照いただきたい。
五十嵐光喜 代表取締役社長
五十嵐氏にはこれまでも折りに触れて取材してきたが、つい最近聞いた中では「Dropboxはこれまで個人向けを中心としたクラウドストレージとして使われてきたが、ここにきて企業でもチームコラボレーションのツールとして使われるケースが増えてきた」とのコメントが印象的だった。今回発表されたNew Dropboxはチームコラボレーション、すなわち「チーム力を向上させる」機能を大幅に強化した形だ。
Clark氏も会見で「Dropboxはシェアードホルダーからチームのワークスペースに進化した」と繰り返し語っていたのが印象的だった。シェアードホルダーはクラウドストレージ、チームのワークスペースはチームコラボレーションを図ることと同じ意味と捉えられる。
ただ、チームコラボレーション市場はグループウェアやSNS系ツールなどもひしめく大激戦区だ。New Dropboxに確かな勝算はあるのか。今回の会見の質疑応答で単刀直入にこう聞いたところ、Clark氏は次のように答えた。
「企業においてチームで業務を遂行する上で、コラボレーションの中心にあるのはコンテンツだ。コンテンツを軸としたツールがチームコラボレーションに最も最適だと確信している。しかもDropboxはすでに多くの個人ユーザーに使われており、そのまま企業でも使い続けていただけると確信している。今回のNew Dropboxで、さらに進化したエクスペリエンスを提供していきたい」
「チームコラボレーションの中心にコンテンツがある」というのは説得力がある。同社の新たな挑戦は果たして奏功するか。引き続き、注目しておきたい。