本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回はITに関連する気になる調査として、ノークリサーチが先頃発表した「中堅、中小企業におけるた新たなIT活用の意思決定者」を取り上げたい。
経営層の関与が強くなってきた「新たなIT活用」
ノークリサーチの調査は、年商500億円未満の中堅、中小企業700社(有効回答)に対し、「新たなIT活用における意思決定者(提案、計画を担う人)」について尋ねたものである。
「新たなIT活用」とは、クラウドサービスのようなサブスクリプションやシェアリング、モノのインターネット(IoT)、VRやAR(仮想現実、拡張現実)、ウェアラブル、ドローンなどを使ったIT活用のことを指す。さらに、働き方改革や人材不足に対処するためのIT活用も含まれる。
その調査結果において、2018年と2019年を比べたグラフが図1である。ひと目で分かるのは、新たなIT活用について経営層の関与が強くなっていることだ。経営層は2018年の調査で49.0%を占めており全体の1位になっているが、2019年の調査では56.7%とさらに7.7ポイントも伸びている。
図1:新たなIT活用における意思決定者(提案、計画を担う人)の割合の推移(複数回答可)(出典:ノークリサーチ)
新たなIT活用における意思決定者として経営層の割合が増加した一方で、IT関連部門、現場部門、間接部門の割合はいずれも減少している。また、業務コンサルタントや販社、SIer(システムインテグレーター)などの社外リソースは、2018年および2019年ともに割合が小さいことも注目される。大企業だと社外リソースの割合がもっと大きくなるだろう。
ノークリサーチはこの調査結果について、「デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されるようになり、IT活用を経営課題として捉えることの重要性がますます高まっている。そうした影響もあり、中堅、中小企業の経営層にも新たなIT活用への関心が高まりつつある」との見方を示した。