キングジムは7月3日、法人向け対話型翻訳機「ワールドスピーク HYK100」を発表。7月19日から発売する。税別価格は14万8000円。ランニングコストなどは発生しない。初年度は8000セットの発売目標を掲げる。
2台1セットの据え置き型で使用し、一方のデバイスに世界72言語(7月時点)で話しかけると、もう一方のデバイスから日本語のテキストや音声が流れる。当然その日本語から各言語への翻訳も可能なため、ホテルや観光施設など窓口業務の理想を想定している。
日本政府観光局(JNTO)がまとめた「年別訪日外国人旅行者数の推移」によれば、2018年に日本を訪れた外国人旅行社は3119万人に達したものの、観光庁が2018年に実施した「訪日外国人旅行者の国内における受け入れ環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」(PDF)では「施設スタッフとのコミュニケーション不足」という課題が浮き彫りになった。
具体的には「施設スタッフとのコミュニケーション不足」が20.6%だが、最も多い回答は「困ったことがなかった」の36.6%。本調査結果では2016年、2017年、2018年の3カ年を比較しているが、コミュニケーション不足は減少傾向、難なく旅行を楽しんでいる割合は増加傾向にあるものの、依然として訪日外国人旅行者を悩ませる問題となっている。
キングジム 代表取締役社長 宮本彰氏
「このような背景をもとに音声翻訳市場が生まれつつある」と代表取締役社長 宮本彰氏は説明。「弊社は電子文具のトップメーカーと自負してきた。音声翻訳機は電子文具に近く、市場自体も成長傾向にある。ワールドスピークは先行する携帯型と異なり、充分に差別化できた。これから一番のビジネスチャンス」と述べながら、音声翻訳市場への参入を決断した。
ワールドスピークは前述のとおり、最初に72種類から使用言語を選択し、筐体下部の左右に用意されたボタンを押しながら話しかけると音声認識でテキスト化して、最適な翻訳エンジンを自動選択した後に、一方のデバイスに日本語などに変換する。使用頻度に応じて選択可能な言語は最初の画面(12言語を表示)に映し出す仕組みも備えているという。
1台の端末を交互に見せる必要がないことから、来訪者と顔を見ながら使用できる(出典:キングジム)