デンソーは、Luminoso Technologiesと共同で自然言語理解ソフトウェアを用いたグローバルでの業務生産性向上の取り組みを開始する。共同で実施するのは、製造現場におけるナレッジ活用による源流改善のための真因分析で、AI(人工知能)技術を活用し、再利用可能なさまざまなナレッジを蓄積し、事業や国境を越えて共有・活用することにより業務の生産性向上を図る。
Luminosoは、自然言語理解・非構造化データ解析ソフトウェアを提供する企業。同社はデンソーと協力し、デンソー社内に蓄積されているさまざまなナレッジ共有システムの導入を進めている。例えば、設備改善の担当者が100万件以上の過去の記録や修理情報の中から、生産性の高い設備作りに有効な情報を速やかに閲覧することを可能にする。
LuminosoのAIを利用したアプリケーションは、個別の単語だけでなく、デンソーのメンテナンス記録における考え方も理解し、注釈の手動入力やトレーニングを経ず機器名やエンジニアリングの略語(「ロボット」を示す「RB」)など、自動車部品分野やデンソー社内の専門用語も理解できる。
デンソーでは、日々の生産活動や改善活動の中で、膨大なナレッジが生まれているものの、有益なナレッジは世界中に散在しており、かつ表現や形式が多様なため、限られた検索可能範囲の情報活用にとどまっているとしている。今回の取り組みで、これまで蓄積してきた大量のメンテナンス記録を活用して、設備の長時間停止につながる潜在的な要因を見つけ出し、より生産性の高い設備づくりに反映したいとしている。
Luminoso製品について同社は、AIが文書を理解するスピードを高く評価しており、事前準備作業として、用語への手動でのタグ付けや、一般的に機械学習に欠かせないトレーニングや辞書登録も不要で、エンジニアの生産性向上に必要なメンテナンス記録を迅速に識別しているとしている。