レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは7月16日、従量課金制サービス「Lenovo TruScale Infrastructure Service(レノボ・トゥルースケール・インフラストラクチャー・サービス)」の国内提供を開始した。
同サービスは、データセンター用ハードウェア製品などをオンプレミスもしくはユーザーが希望する場所に設置し、消費電力に基づくサブスクリプションベースで利用料を支払う。価格体系は大きく「ベース・プログラム・コスト」「固定利用料金」「可変利用料金」の3種類に分かれており、「固定利用料金」と「可変利用料金」の組み合わせはカスタマイズできるようになっている。
例えば、全キャパシティを常時フルに利用するという想定では、「100%確約、0%従量」という一般的なリース契約と同様の毎月の固定額を支払う形にできるほか、「0%確約、100%従量」という形にすれば、固定利用料金なしの完全従量制(なおベース・プログラム・コストは別途毎月の支払いが発生する)にもできる。中間の「固定利用料金」と「可変利用料金」の両方を組み合わせる場合は、毎月確実に使用すると予想されるリソースを固定利用料金として支払い、超過分を可変利用料金でカバーするという形になる。
このように柔軟なカスタマイズが可能なため、実際のサービス利用に当たっては事前のアセスメントやサイジングなどの作業が必要になるといい、クラウドサービスのようにすぐ利用できるというものではない。特徴は、各機器の消費電力量をモニタリングし、このデータに基づいて各機器の利用量を測定して課金する点になる。
Lenovoグループ TruScale Infrastructure Services担当ゼネラルマネージャーのMatthew Horne氏
サービス概要を説明したLenovoグループ TruScale Infrastructure Services担当ゼネラルマネージャーのMatthew Horne氏によれば、消費電力量を基準にしたのは、同社の遠隔管理ツール「Lenovo XClarity」で機器ごとの消費電力量を測定できるためという。これにより、新たなツールやシステムが不要なほか、消費電力量の測定もアウトオブバンドで実行されるため、運用中の機器の動作に影響が生じたり、ユーザーデータにアクセスしたりするような懸念がない点などが考慮された結果だとした。
なお、市場では既に同様のサブスクリションベースでの提供をうたうサービスが存在しているが、Horne氏は、「それらは基本的にリースと同じようなモデルだ」とした。利用可能な形で提供されているリソース量ではなく、“実際に利用したリソース量”に基づく本当の意味でのサブスクリションモデルでのサービス提供という意味では、同社が他社に先駆けて実現したものだと主張している。
また同日にグループ企業のレノボ・ジャパンが、IoTやエッジコンピューティングでの運用を想定した小型PCの新製品「ThinkCentre M90n-1 Nano」「ThinkCentre M90n-1 Nano IoT」を発表し、IoT時代のエッジコンピューティング用デバイスに参入することを表明した。特にThinkCentre M90n-1 Nano IoTは、筐体自体に冷却フィンを造り込んだファンレス構造とすることでホコリの吸い込みをなくすなど、製造現場などでの運用に配慮した設計としているほか、有線Ethernetに加え、ワイヤレス接続ではWi-Fi、Bluetooth、4G(LTE)、LoRaの4種類の規格をサポートする。
小型PC「ThinkCentre M90n-1 Nano」(左)と「同IoT」(右)の比較。「ThinkCentre M90n-1 Nano」は店舗などで一般的なPCとして利用することを、「同IoT」は工場等の現場での運用を想定している。大きさは、底面サイズは約179×88mmで同寸だが、厚み(高さ)は22mm(Nano)/34.5mm(Nano IoT)となっており、Nano IoTはヒートシンク(冷却フィン)を造り込んでいる分だけ厚みが増している (出典:レノボ)
さらにレノボ・エンタープライズ・ソリューションズは、より高い演算能力を必要とする用途向けに、「ThinkSystem SE350」の開発意向も表明した。同製品は年内の発売を予定しており、高さは1Uサイズで幅を標準ラック幅の約半分に抑えているほか、稼働可能温度範囲を0~55度とし、防塵対応や耐衝撃/耐振動構造など現場運用を想定した設計になるという。
ThinkSystem SE350の試作機を紹介した、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社の代表取締役社長のJon Robottom氏。十分な性能を備えたサーバー機でありながら小型軽量に仕上がっていることをアピールした