企業の為替差損を最小化--Kyriba傘下のFiREapps、為替リスク管理を国内展開

藤本和彦 (編集部)

2019-07-18 07:00

 「多くの日本企業が為替差損を被っている」――。こう語るのはFiREappsの元最高経営責任者(CEO)/共同創設者で、現在はKyribaのチーフエバンジェリストを務めるWolfgang Koester氏だ。クラウド型財務管理システムを提供するKyribaは2019年1月、為替リスクの管理機能を提供するFiREappsを買収。現在は「Kyriba Enterprise」への統合を進めており、日本での提供も計画している。

 米中貿易摩擦が世界経済に与える影響は未知数だが、企業経営において為替リスクを適切に管理する重要性がますます大きくなっている。国外で事業を拡大する日本企業が増えており、外貨で稼いでいる割合が大きくなっている。実際、最高財務責任者(CFO)にとって、為替変動の管理を含むパフォーマンスリスクは不正監視/削減に次いで重要性が高い項目となっているが、多くの企業で対応が不十分になっているという。

FiREappsの元CEO/共同創設者で、現在Kyriba チーフエバンジェリストのWolfgang Koester氏
FiREappsの元CEO/共同創設者で、現在Kyriba チーフエバンジェリストのWolfgang Koester氏

 例えば、海外の事業活動で得た現地通貨建ての資金などは、為替相場の変動によって為替差損が発生するリスクを抱える。為替差損が膨らみ過ぎれば、大切な利益を圧迫しかねない。逆に為替リスクの適切な管理は、大きな競争優位につながるといえる。

 その一方で、財務部門における為替リスクへの対応はなかなか進まない現状がある。その要因の1つがデータにある。Excelなどの手作業による非効率な管理方法では、エクスポージャー(市場の価格変動にさらされている資産の影響度合い)の把握に時間が掛かったり、リスク回避などに対する迅速な意志決定ができなかったりする。

 FiREappsのソリューションは、SAPなどの既存の統合基幹業務システム(ERP)や会計システムと接続して直接データを抽出することで、為替リスクの管理やエクスポージャーの可視化を可能にし、為替がEPS(1株当たり利益)に与える影響を分析することができるようになる。表計算ソフトなどを使って複数の業務システムから集めたデータを手作業で集計するのと比べ、より迅速かつ効率的に為替エクスポージャーを管理できる。

 Kyribaとの統合について、Koester氏は「データの収集・統合、レポート作成、分析、意思決定支援、支払い、ヘッジ会計など、グローバルな為替リスクを管理するソリューションになる」と説明。その上で、「Kyribaの傘下に入ることで、同社が抱える2000社以上の顧客企業へアプローチできるようになる」と語った。

 「FiREappsは企業における為替差損のリスクを最小化する。企業のESPリスクを0.01ドルに抑制し、企業の為替リスクを最大50%削減できるという点が特徴だ」(Koester氏)

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