Zoomを通じて日本発のソリューションも海外展開したい--日本責任者の佐賀氏

阿久津良和 2019年07月24日 06時00分

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 ウェブおよびビデオ会議ソリューションの「Zoom」を手掛けるZoom Video Communicationsは7月11日、東京を拠点とする日本での事業体制の拡大を発表した。同日の記者会見でZVC Japan カントリーゼネラルマネージャーを務める佐賀文宣氏は、「日本向けにカスタマイズした独自のソリューションや市場参入計画の開発に注力する」と述べた。今回、ロジクールの発表会に出席した同氏に、日本市場でのZoomの戦略を聞いた。

ZVC Japan カントリーゼネラルマネージャーの佐賀文宣氏
ZVC Japan カントリーゼネラルマネージャーの佐賀文宣氏

--記者会見で2000ユーザー超の有償顧客を持ち、LIXILのように多くの部門で活用している企業も多いとアピールしていた。まずは手応えを聞かせてほしい。

 われわれが日本でビジネスを展開する2年ほど前から米国本社に来て、Zoomの購入を決めたお客さまが多くいた。われわれが活動する以前から、Zoomはオーガニックにユーザーの間で広まっている。その意味で日本法人は、まだ何もできていない。それでも日本でも広く使っていただいていることは、一つの手応えだと感じている。先日は50人ほどのユーザー会を開催したが、ユーザー同士で「こんな使い方をしている」「(導入に際して)どう会社を説得したか」などの情報交換をしており、本当にZoomを愛用するお客さまに恵まれていると感動した。

 Zoomは無償で使用し、通話時間の制限をなくしたい。特殊な追加機能が必要ならプロやビジネスプランをお選びいただく。無償版を使っているユーザーは米国に次いで日本が多く、正しくご提案すれば有料のお客さまも増えていくだろう。このようなアプローチで日本市場の展開を目指していく。

--記者会見にZoomで参加した創業者 CEO(最高経営責任者)のEric S. Yuan氏は、「Zoomは徐々に浸透し、日本市場でも広まった」と語った。今後の展望は。

 営業戦略としては、エンタープライズ(大企業)からSMB(中堅・中小企業)まで、全ての商業市場に対して提案していくが、当初はエンタープライズに焦点を当てる予定だ。(2019年2月の参画時の)予想に反して、SMBのお客さまがわれわれの知らないところで有償プランを購入されているケースが急増している。少しずつ認知度が高まり、提案せずに購入していただく層が増えているのは予想外だった。そのため両方からお客さまが増えていることになる。

2019年7月11日の記者会見では、Zoomの同時接続数をアピール。エンタープライズライセンスでは最大1000人の参加が可能だとした
2019年7月11日の記者会見では、Zoomの同時接続数をアピール。エンタープライズライセンスでは最大1000人の参加が可能だとした

--SaaSやハードウェアのアライアンスパートナーと提携し、顧客先で提案するとしたが、ロジクールと協業した。素早い動きに見えるが、いつ頃から取り組んでいたのか。

 4月上旬頃だった。ZVC Japanの立場で申し上げると、ウェブ・ビデオ会議ソリューションは、ソフトウェア単体であれば、勢いよく売れていく。だが、ソリューション全体で見ると、お客さまの多くはハードウェアのことを気にする。そこで確かな技術を持っているロジクールと協業しなければ、ソリューションとして提案ができないと当初から考えていた。その結果が今回の協業だ。

--SaaSパートナーとの提携はどうか。Slackなどコミュニケーションプラットフォームとの連携を強調しているが、例えば、Microsoft TeamsはSkype for Businessを内包している。

 Zoomはトータルソリューションとしてテキストチャットなどの機能も備えているが、絶対的に自信を持っているのは映像と音声の品質だ。ここは譲れない点になる。それ以外のところは、もっとよいソリューションがあり、お客さまも自由に選択できる。ただ、映像や音声が関わる場面に関しては、Zoomを使った方が満足いただけると思う。このような観点からSlackやMicrosoft Teamsとも連携できると考えている。

--(佐賀氏は)IBMやシスコシステムズ、VMwareで要職を歴任し、パートナービジネスに注力してきた。その経験をZVC Japanでどのように発揮したいか。

 市場の認識を申し上げると、日本のITエンジニアは、米国とは逆にSIer(システムインテグレーター)が大多数を占めている。米国では9割が直接販売だが、ZVC Japanは販売パートナーの力を借りることになるだろう。もちろん、ハイタッチ営業も大切にしていこうと考えている。ただ、販売パートナーは、お客さまにハードウェアを含めたソリューションとして提案し、導入構成や導入後の保守に至るまでの長い関係を顧客と築いてきた。商流は販売パートナーに軸足を置き、Zoomを末永く使ってもらえるようなパートナービジネスを目指している。

 2019年の初めは1社だった販売パートナーも、現在は6社(NECネッツエスアイ、シーティーシー・エスピー、ソフトバンク、ブイキューブユニアデックス、日商エレクトロニクス)にまで増加した。具体的な時期は明かせないが、近い将来は数十社まで拡大したい。発表会でも述べたが、市場で2桁のシェアを獲得し、多くのお客さまにZoomをご利用いただきたいと考えている。訴求範囲の拡大には数十社の販売パートナーの獲得が必要だ。

 現在注力していることは2つあり、1つはお客さまと正しく会話できるハイタッチ営業力の獲得。もう1つは、商談を一緒に行うパートナーの契約だ。

--記者会見では、欧米から日本への「“タイムマシーンビジネス”に終わらせたくはない。むしろ海外に輸出して標準化を目指す」と語っていた。次に打つ手があれば、聞かせてほしい。

 (NECネッツエスアイと共同開発したビデオ会議システムは)お客さまの事情を理解した上で生まれたソリューションだった。例えば、現在提案中のある流通業は「使いやすい」のレベルが異なる。「会議室に入ってワンタップで会議が始まる」くらいでは満足されない。「会議時間が決まっているから入室時点でつながってほしい」と話していた。それが流通業における(会議システムへの)需要だ。

 K-12(米国における幼稚園から高校まで無償教育の期間)の文脈でも、日本と米国では事情が大きく異なる。日本の小中学校でも教職員のメールアドレスを発行していないケースが多いものの、そこにZoomのライセンスビジネスを提案しても意味がない。これは日本で各業界のお客さまと対話して生まれるソリューションだ。日本向けにカスタマイズし、お客さまの立場に沿ったソリューションを1つ1つ作っていきたい。

--ZVC Japanがパートナーで作り上げたソリューションを米国市場に持ち込むと、どのような反応が期待できるのか。

 具体的には話せないが、既に米国で引き合いをいただいている。米国で生まれたソリューションではなくても、「これ、いいね」というものは必ずある。前述した流通業向けや小中学校向けのソリューションをそのまま展開できるとは考えていないが、米国本社よりも米国市場に展開するパートナーを通じてソリューションを紹介していきたい。

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