米DropboxのCTO(最高技術責任者)を務めるクエンティン・クラーク氏が6月20日に来日し、オンラインストレージサービス「Dropbox」に搭載された新機能について説明した。6月12日から先行アクセスプログラムのユーザーに向けてベータ版の提供を始めている。フィードバックを踏まえて改良した上で、全てのユーザーを対象に正式版を今後数週間で段階的にリリースするとしている。
Dropboxのクラーク氏
今回のアップデートでは、ブラウザを使ってDropbox上のドキュメントファイルを作成、共有できるようになったほか、「Slack」やビデオ会議ソフト「Zoom」のアプリを起動させずにDropbox上で各機能を使用できるようになった。これらのアプリを使用している最中に、Dropboxのファイルを共有することも可能だ。加えて、「Trello ボード」などの生産性向上ツールや、ウィキペディア、ニュース記事へのリンクといったウェブショートカットを作成して、従来のコンテンツと一緒にDropboxに保存できるとしている。
Slackとの連動イメージ(出典:Dropbox)
さらに、IT担当者向けの管理機能も提供される。クラーク氏は「現在の職場は、例えば10年前と比べてプロジェクトや関わる人々が増え、複雑化している。その結果、IT担当者は大きなリスクやコストを抱えている。この課題を受けてわれわれは、マルチチームの管理機能や、端末紛失時の遠隔削除、ファイルのダウンロードを無効にして閲覧のみにする機能などを搭載した」と語っていた。
新機能と併せてDropboxが2019年5月に実施した調査結果も発表。約2000人に業務の内訳を聞いたところ、本業を行っている時間は約65%で、約35%が本業以外に割かれていると判明した。回答者の1日の勤務時間は平均約8.9時間で、1日当たり平均約3時間強を本業以外に割いているといえる。
Dropbox Japan代表取締役社長の五十嵐光喜氏は、「具体的に何の作業に時間を費やしているのか調べたところ、『ファイルやメールを探すこと』(約21分)や『関係者への報告の会議』(約17分)などのほか、『ファイルを閲覧するための複数のソフトウェアをまたいだ作業』(約12分)があった。これを受けてわれわれは、本業ではない業務の削減に向けた今回の機能アップデートに至った」と述べた。
Dropbox Japanの五十嵐氏