情報セキュリティの総合カンファレンス「RSA Conference 2019 Asia Pacific & Japan」が7月16日から3日間、シンガポールで開催された。シンガポールでの開催は今年で7回目を数え、その規模は年々拡大。会場となったシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ・カンファレンスセンターには、6000人を超える企業ユーザーやセキュリティ担当者、政府関係者が集った。
会場となったシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ・カンファレンスセンター」。地元シンガポールを筆頭にインドや韓国、マレーシア、中国などのセキュリティ関係者が参加した。日本からはパートナー・顧客を合わせて約100人が参加した
RSAは2019年のカンファレンステーマとして「BETTER(ベター)」掲げている。
攻撃の手口が巧妙化、複雑化する現在、セキュリティ侵害をさせないことは不可能だ。企業はセキュリティ侵害があることを前提に、サイバー攻撃を早期に検知、対処して、その影響を最小に抑える「サイバーレジリエンス」対策が求められている。
「BETTER」には「誰もが自分のやり方で、現状よりもよい環境を構築する努力を惜しまない姿勢が大切」とのメッセージが込められている。
Rohit Ghai氏。「BETTER」のテーマは3月にサンフランシスコで開催された「RSA Conference 2019」と同じだが、内容はアジア太平洋地域が直面する課題にフォーカスした
「サイバーセキュリティ」から「デジタルリスク管理」へ
米Dell technologies傘下である米RSAは近年、「デジタルリスク管理」の重要性を説いている。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、IoTや自動運転車など、生活をとりまくあらゆる“モノ”がデジタル化する時代においては、デジタル(データ)に対するセキュリティリスクも増加している。
7月16日の基調講演に先駆けて行われた記者説明会で、RSAの最高経営責任者(CEO)であるRohit Ghai(ロヒット・ガイ)氏は、「APJ(アジア太平洋日本地域)の国々は、世界で最もデジタルディスラプション(デジタル化による破壊的な進化)が進んでいる。IoTやAI(人工知能)、5G(第5世代移動通信)など、最先端技術を貪欲に取り入れ、DXを推進している国が多い。反面、DXのスピードにセキュリティ対策が追いついていない部分がある」と指摘する。