Gartnerは、ハイブリッド型の人工知能(AI)アプローチが2030年までに実現し、人と機械が協働してビジネス価値を高めていくという明るい未来を描いている。
同社の予測によると、数年後にAIはさまざまな状況で人が意思決定を行う際に支援の手を差し伸べ、作業員の生産性を向上させるだろうという。
同社の推定では、AIによるオーグメンテーション(拡張)は2021年に2兆9000万ドル(約213兆円)のビジネス価値を生み出し、62億時間分の作業員の生産性向上を実現するという。
同社の総体的な考え方は、拡張知能(Augmented intelligence)が人の作業に取って代わるのではなく、学習や意思決定、経験を強化するというものだ。詰まるところ、人とAIの持つノウハウの組み合わせによって、企業の生産性は向上する。
Gartnerは、ビジネス価値という点から見た場合、2030年までに意思決定支援やオーグメンテーションがその他のAIイニシアティブを抑えて市場の44%を占めるようになると予測している。なおその他のイニシアティブとして、スマート製品が13%、意思決定の自動化が19%、エージェントが24%の割合になるとされている。
では、なぜ意思決定支援やオーグメンテーションによってビジネス価値が高まるのだろうか?以下がその理由だ。
- まず、意思決定支援やオーグメンテーションは、AIの食物連鎖において最も異論が出にくいテーマだ。意思決定の支援や、データあるいは品質の向上のためのAI利用によって、人の作業を自動化することなく、顧客エクスペリエンスを向上させたり、売上高を増大できる。こうした絶妙の立ち位置のおかげで、AIによる自動化に見られるような政治的な批判が起こらないのだ。
- 意思決定支援やオーグメンテーションによって、データの民主化が可能になり、それによって企業の業績も向上する。
- 人は、AIに向けたハイブリッド型のアプローチに対してより大きな安心感を抱く。
とはいえ、2030年における全体的な状況と、AIでビジネス価値を生み出す第2、第3のものについても目を向けておいた方がよいかもしれない。エージェントはさまざまなビジネス価値を向上させ、ある程度まで人の作業を置き換える可能性が高い。また、意思決定の自動化は最終的に大規模なものとなり、機械がより多くの決定を下すようになっていくだろう。
まとめ:2030年において、人とAIの間に優れた役割分担が成立しているかもしれないが、さらに数十年先はゼロサムゲームに近づいていく可能性もあるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。