"悪"によるコード利用許さず--開発者の抗議でChefが米移民当局と契約更新しない方針

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正:

2019-09-26 19:22

 Donald Trump大統領の不法移民政策により、何千人もの移民の親子を引き離したことで、米国政府の移民・関税執行局(ICE)は多くの敵を作ったが、最近になって、DevOpsツールを手掛けるChef Softwareなどのソフトウェア企業が、ICEと契約していることが明らかになった。オープンソース開発者のSeth Vargo氏は、同氏のオープンソースプロジェクトである「Chef Sugar」がChef Softwareに使用されていることを知り、Chefのエコシステムからコードを削除した。これによって、Vargo氏とChef Softwareは、Chefのソフトウェアがどれだけ同氏のライブラリーに依存していたかを知ることになった。

 Chef Sugarは、DevOpsのためのソフトウェアであるChefを使いやすくするRubyライブラリーだ。Vargo氏は、Chef Softwareに勤務していた時期にこのライブラリーを開発し、オープンソースとして公開した。このライブラリーはその後、Chefのソースコードに統合された。しかしChef Sugarの最新のコードは、オープンソースではあるが、Vargo氏の個人的なGitHubリポジトリーに置かれていた。

 現在はGoogle CloudのエンジニアであるVargo氏は、「自分のソースコードが悪しきことに使われるのを防ぐ道徳的、倫理的義務がある」と宣言して、同氏のコードをGitHubと、Rubyパッケージのメインリポジトリーである「RubyGems」から削除した。

 もちろん問題が発生した。Chef Softwareの最高経営責任者(CEO)Barry Crist氏によれば、同社はすぐにこの事態が「多くの顧客の本番稼働システム」にダメージを与えたことを把握した。同社の最初の対応は、古いバージョンのChef Sugarのソースコードを探して、自社のGitHubアカウントにアップロードすることだった。しかし、ソフトウェアを再び提供して使えるようにするだけでは、抗議の動きは止まらなかった。

 Chef Softwareの社内と社外の両方の開発者が、Vargo氏の行動を支持したのだ。

 Crist氏の当初の反応は、従来の方針を維持するというものだった。

 あなた方やコミュニティに属する人々の多くが、わが社が国土安全保障省のICEとの取引関係を持たないことを望むのは理解するが、私はChefの経営陣の支持を受けた上で、政府の各種政策を個人的に支持するかどうかということに関わらず政府機関との取引を行うという、原則に基づく判断を行った。この判断は、契約の規模に左右されたものではないことを明確にしておきたい。重要なのは、この変化の激しい時代に、ビジネスに対して一貫性のある公正なアプローチを維持することだ。

 また同氏は、次のように付け加えた。

 個人的には、家族を引き離し、子どもの自由を奪うような政策は間違っており、わが国の国益に反すると考えている。

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