SIerが志向するハイブリッド/マルチクラウド戦略
以上が今回の新サービスの概要だが、筆者がこのサービスに注目したのは、自らもマネージドクラウドサービスを展開するシステムインテグレーター(SIer)のクラウドビジネスのありようを示していると見て取ったからである。SIerが志向するハイブリッドックラウドおよびマルチクラウドへの戦略といえよう。
改めて、新サービスにおけるユーザーメリットを分かりやすく説明してほしいと問い合わせたところ、NSSOLの広報から次のような回答があった。
「『すべてのシステムをパブリッククラウドに移行すれば、コストや運用負荷などの課題がすべて解決する』という“幻想”をなくして、システムを適材適所に配置し、経済性の良いシステムができる。また、DXに対応する体制がなければ、役割や組織体制の見直しといった支援も受けられる。さらに、ベンダーのSaaSやPaaS、アプリケーションを含めた総合的な支援を受けられる」
要は、NSSOLのノウハウを活用してパブリッククラウドのメリットを生かしながら、企業ごとに最適なITインフラを構築できるといったところか。
実は、NSSOLはすでにAmazon Web Services(AWS)向けにも同様のサービスを提供しており、今回のAzure向けと合わせれば、現時点では国内で大半のパブリッククラウドに対応した形となる。さらに同社はOracle製品の取り扱いにおいて長年の実績があることから、適時「Oracle Cloud」にも対応していく構えだ。
今回のようなアセスメントサービスにどれほどのユーザーニーズがあるか。それがSIerの今後の存在価値を占う1つのバロメーターにもなるのではないか。その意味でも新サービスの動向に注目していきたい。