New Relic、可観測性プラットフォーム「New Relic One」の新機能を国内提供 - 6/6

渡邉利和

2019-10-15 10:30

 New Relicは10月10日、“デジタルビジネスのあらゆる重要指標を観測可能”にする可観測性プラットフォーム「New Relic One」の新機能を15日に国内提供すると発表した。

 まず、同社のビジネス戦略について説明した同社の代表取締役社長の小西真一郎氏は、モバイル決済の普及や企業のデジタル変革(DX)への取り組みが加速している現状を踏まえ、「こうした流れの中で日本企業をどう支援していくか」が同社のミッションだと語った。

New Relic 代表取締役社長の小西真一朗氏
New Relic 代表取締役社長の小西真一朗氏

 また、同社の国内ユーザー企業が以前の“イノベーター”中心から現在では“エンタープライズ”での採用が加速していると明かし、その具体例として小松製作所(コマツ)が“スマートコンストラクション”の実現のために同社製品を活用した事例と、パイオニアがクラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」で採用した事例の2件を紹介した。

 さらに同氏は、両社の共通点として「従来のビジネスにおいては卓越したブランドを確立しているが、デジタルの世界での経験はまだ浅く、ブランドも確立できてない」とした上で、多くの日本企業が同様に抱える課題である「従来ビジネスで培ったブランド価値を毀損(きそん)しない形でデジタルに進出したい」という要望を満たすために同社のプラットフォームが提供する「ビジネスとシステムを直結して観測する能力」が重要な役割を果たすと強調した。

 続いて、製品の強化点についてCTO(最高技術責任者)で技術統括 執行役員の松本大樹氏が説明。同氏はまず、New Relic Oneが「3つのイノベーション」として掲げる「OPEN「CONNECTED」「PROGRAMMABLE」の3要素について、「OPEN=多様なデータを受け入れる」「CONEECTED=膨大なデータを理解する」「PROGRAMMABLE=自由にデータを可視化する」という意味だと説明した上で、今回追加された新機能をこの3要素に合わせて整理して紹介した。

New Relic CTO/技術統括 執行役員の松本大樹氏
New Relic CTO/技術統括 執行役員の松本大樹氏

 まず、OPENに対応する新機能としては、「New Relic Metric」「同Traces」「同Logs」を挙げた。テレメトリーデータやログデータに対応し、これらをNew Relic Oneに取り込むことで同製品で可視化できる範囲を拡大したという。

 次に、CONNECTEDでは「New Relic Serverless for AWS Lambda」(一般提供開始)と「Logs in Context」「New Relic AI」「React Native Mobile」(いずれもPrivate Beta)が紹介された。Serverlessは、AWS LambdaのAPI経由での監視のみでなく、より詳細な情報を取得可能とするもの。Logs in Contextは、New Relic Logsの機能拡張で、「膨大なログデータを検索するのではなく、問題が発生している部分からログをたどることが可能に」なるという。New Relic AIはインシデントデータを自動で収集、集計、順位付けする相関分析エンジンでデータノイズを除去し、平均復旧時間(MTTR)を劇的に短縮するという。

 最後に、PROGRAMMABLEの領域では、ダッシュボードアプリケーションの構築を支援するための新たな取り組みが行われた。React.jsおよびGraphQLに対応し、データ可視化ダッシュボード開発が行えるという。また、一部ユーザーおよびパートナー企業の協力のもと、サンプルダッシュボードアプリケーションがGitHubで公開されている(Apacheライセンス)。

 New Relicは元々APM(Application Performance Management)のソリューションを提供しており、アプリケーションにエージェントモジュールを組み込んでユーザーの操作状況を精密にモニタリングすることでアプリケーションパフォーマンスの問題点を見つけ出すことが中核機能だった。今回の機能拡張では、各種テレメトリーデータやログデータなど、同社のエージェントモジュールが収集したデータ以外のデータの収集/解析にも対応した点が大きな変化だと言えるだろう。

 ちなみに、小西氏は同社のソリューションがDXに取り組む企業に対してどのようなメリットを提供するのかという点について端的に「デジタル化によって、何を羅針盤としてサービス改善に取り組めばいいのか分からない」という問題を解決するものだとしている。自社が提供するサービスの品質が良いのか悪いのか、従来は顧客満足度の測定指標に基づいてサービス改善を行っていたが、デジタル時代になって従来と同じような手法での顧客満足度調査ではカバーできない領域が増えてしまっている。それと同時に、この部分での問題を見過ごすことで顧客を失望させ、ブランドイメージを毀損してしまう例があり、そうした状況を避けることができる点が同社のプラットフォームの価値ということだ。

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