U-NEXTがアプリケーションを監視する理由

松下康之

2015-12-22 07:00

 アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)で急成長している米国AppDynamicsの日本法人、アップダイナミクスジャパン合同会社がパートナーである新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)が、イベント「AppJam 2015 in TOKYO」を共催した。100人超の参加者に対し、AppDynamicsの製品概要、動画配信サービスのU-NEXTによる事例発表、U-NEXTやNSSOLらによるパネルディスカッションなどを展開した。

 まず冒頭のプレゼンテーションはアップダイナミクスジャパン合同会社のカントリーマネージャー内田雅彦氏による先日、ラスベガスで開かれたAppDynamicsによるカンファレンス、APPSPHERE 2015の振り返りから始まった。3日間のカンファレンスでは約1500人の参加者、50を超える個別セッション、100時間を超えるトレーニングが実施されたことを報告した。

 さらにAppDynamicsの現状として、2000社を超える導入事例、モニタリングしているアプリケーションは1万1000本以上、管理されているノードは110万台以上、モニタリングしているトランザクションが1日に800億以上、そして収集されているイベントの数で言えば4500億以上/日のイベントをさばいていると紹介している。これをみると実際の導入社数に比べて凄まじい数のトランザクションが処理されているのがわかる。各社が持つアプリケーションの複雑さが透けて見える数字となった。


アップダイナミクスジャパン カントリーマネージャーの内田氏

 内田氏のプレゼンテーションはAppDynamicsの概要からユーザーでの導入効果、アプリケーションモニタリングのアーキテクチャなどを紹介するもので、AppDynamicsの特徴であるエージェントが軽量であること、サーバ間を行き来するパケットに独自のビーコンを入れて追跡することでサーバ間、アプリケーション間の接続関係を自動的に構成し、モニタリングができることを紹介した。


導入後の効果

 この点が過去のメインフレームなどで実現されていたレガシーなアプリケーションモニタリング製品とは際立って違う部分であり、実際にガートナーが2012年にその定義を変えて「新世代のアプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)」の必要要素として挙げた「アプリケーション間の相関・構造を検出し、可視化できること」という部分に相当する機能だろう。AppDynamicsはその部分をさらに「自動化」というシステム管理者にとっては欲しくてたまらない機能に仕上げた部分が大きい。2014年に発表されたAPMのマジッククアドラントではAppDynamicsはリーダーのポジションに位置付けられている。


U-NEXT コンテンツプラットフォーム事業、事業戦略室 柿元崇利氏

 AppDynamicsの国内導入事例のセッションでは、動画配信サービスを手掛けるU-NEXTのコンテンツプラットフォーム事業、事業戦略室の柿元崇利氏が登壇した。動画配信の最も初期からビジネスを展開しているU-NEXTだが、結果としてサービスイン当初から稼働していたシステムではユーザー体験を改善しようとしても遅延などの事象を早期発見することが困難であったと説明。ゼロベースで作り直そうとした際にアプリケーションモニタリングのツールとしてAppDynamicsを選択したという。

 柿元氏自身が「私はデータジャンキー」と呼ぶようにダッシュボードでさまざまな指針を見るだけでなく、ドリルダウンすることができるAppDynamicsは現在のU-NEXTの運用には欠かせないと語った。特に導入後の効果についてAppDynamicsを入れたシステムにおける継続的なチューニングによって特に、導入後の効果について、AppDynamicsを入れたシステムにおける継続的なチューニングによって、 サーバ間のレスポンスが1.5~2倍改善、ユーザーが快適に動画を視聴できるようになったという。

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