英国のキングストン・アポン・ハル市は最近、米国のラスベガスやデンマークのコペンハーゲン、インドのジャイプルなどに続き、スマートシティの1つに名を連ねた。イースト・ライディング・オブ・ヨークシャーの港町であるハル市は、同市独自のOSを使った、データ管理の一元化と、リソース管理のさらなる効率化に着手した。
ハル市は、同市の各所に設置したIoTセンサーによってリアルタイムのデータを集積することで、街灯やゴミ収集、駐車スペース、交通渋滞を効率的に管理できるようになり、より低いコストでより良いサービスを提供することが可能になると述べている。
同市は、Cisco Systemsの「Cisco Kinetic for Cities」(CKC)上に「CityOS」というプラットフォームを構築した地元の電気通信事業者Connexinと協力していく。CKCはサブスクリプションベースのソフトウェアであり、都市運営に携わる者はこれを利用することで、複数のセンサーからのデータを単一の画面から閲覧、管理できるようになる。
Connexinの創業者であるFurqan Alamgir氏は米ZDNetに対して「サイロ化されたシステムを数多く抱える都市がデジタル化に苦労していることに気付いた。例を挙げると、LED管理システムと交通管制システムを有していても、この2つの接続が困難な場合もある」と語っている。
「このためわれわれは、すべてのセンサーがお互いにシームレスにやり取りできるよう、すべてのデータを1つの言語に正規化する要となるOSをCiscoのプラットフォーム上に構築した」(Alamgir氏)
このCityOSというプラットフォームは、さまざまなIoTセンサーからの情報を収集、蓄積したうえで都市運営の担当者に引き渡す。これはデータの可視化が容易であり、そうした可視化によってより良いリソース管理のためのデータ活用が可能になるということを意味している。
市会議員のDaren Hale氏は「このシステムは、市が所有するさまざまなコンピューターシステム内にばらばらに存在している情報を集約し、市の公共資産をリアルタイムで市全体として管理できるようにするものだ」と述べている。
これは、ハル市が完全にテクノロジーに依存するようになることを意味しているわけではなく、CityOSがITの問題に遭遇したとたんに信号やゴミ収集が止まってしまうことを意味しているわけでもない。というのも、データは同システムに格納されるわけではないためだ。
これはまた、ハル市がデータを同システムに供給するかどうかという選択肢を手にしていることを意味している。Alamgir氏は「われわれはデータを所有したいとは考えていない」と述べ、「このため、データをCityOSから参照できるのは、ハル市がアクセスを許可した場合のみとなっている。これが、『プログラム可能な市』の背後にある考え方だ」と続けている。
ハル市は1年近く前に「Smart City Challenge」への取り組みを発表しており、既にConnexinとの提携の一環としてスマートゴミ箱の試験運用を開始している。
これはゴミ箱の内側にセンサーを設置し、ゴミの量を監視することで、ゴミ収集の最適なタイミングや、より効率的な収集ルートを見極めるために該当データを利用するというものだ。
Alamgir氏は「われわれは、インターネット分野における英国の存在を再び高めたい」と述べるとともに、「英国のイノベーションが当地でシリコンバレーの先を行っているのを見るのは素晴らしい」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。