コラボレーションアプリケーション、SaaS、モバイルテクノロジーは当初、業務の柔軟性を高め、リモートワークを可能にすることを約束して販売されました。
しかし、非常に残念なことながら、これらの技術により24時間年中無休の作業が可能となり、労働時間内だけでなく、帰宅後、週末、休暇中にも業務を行う人たちが増えてしまったのです。休暇を取るために働いているのではないかと思うでしょうが、現実は違います。
米国旅行協会が昨年発表した資料(PDF)によると、アメリカ人全体で、昨年7億6800万日の有給休暇が消化されていないとのことです。これは2017年から9%増加しています。
オフィス外で働くことはそれほど新しいことではありません。ですが、リモートワークを容易にするツールを使うことで、以前と比較してより手軽に仕事に没入できるようになったのです。テクノロジーによって仕事に対するイメージは「常時オン」「瞬時に対応」「自分の端末に常に存在する」といったものに変わり、「ワーケーション(Working Vacation)」や「日曜日の恐怖(Sunday Scaries)」などの用語が生まれました。
この20~30年のテクノロジーの進化の目覚ましさは言うまでもなく、業務効率を加速させることに夢中で「このままでは事故が起きるからガードレールを設置しなければ」と気付いて立ち止まることはありませんでした。自動車の例に従うと、自動車だけでなく、すべてのテクノロジーが最終的に安全な使用のための規則と規制を必要とすることがわかります。
自動車は1920年代に一般的に見られる乗り物となりましたが、1960年代後半に1人あたりの自動車死亡者数が最高に達するまで、安全性に関する厳しい規制はありませんでした。それ以来、速度制限、シートベルトからライトまで、さまざまな法律を作成して運転を可能な限り安全なものとしたのです。
今日のテクノロジーによってもたらされた「仕事と常につながったままである」というストレスは致命的なものである可能性があるにもかかわらず、営業時間外の仕事が行われており、場合によってはそれを期待されています。それは、会社からの規制もなく、毎日起きています。
もちろん、そのような状態となった要因であるテクノロジーは、正しく利用すれば、いつ、どのように、どこで作業したいかを可能にするものです。
フランスでは、より短い労働日と、業務から切り離される権利(オフラインになる権利)を認める法律を作ることで解決しようとしています。米国においては、そのような社会の実現はまだ遠い未来の話のようです。