人事戦略と経営戦略に不一致
最後はパーソル総合研究所の大下氏がモデレーターを務めつつ、双日 の河西氏に質問するパネルディスカッションを披露した。
――(調査結果を踏まえて)人事と経営を近づけたいという話をされたが、心掛けるべき点は。
人事戦略が経営戦略に追いついているかといえば1年遅れ。(人事部長)着任前に資料を見ると、人事戦略と経営戦略に不一致を感じたので、着任後は課題認識を明確にして経営部門と対話した。
たとえば統合報告書やアニュアルリポートを読んでもギャップがある。データ活用が欠かせないが、部下に尋ねたところ各所に埋もれているという。そこでパーソルに相談し、紙情報をPDF化してシステムにアップロード。もちろんアクセス権限を付与している。データの一元化は弊社も抱える課題の1つ。今なお悩んでいる。
パーソル総合研究所 タレントマネジメント事業本部長 大下徹朗氏
――個人の成長が必要と語られたが、人事部として個人の成長を促進させるための取り組みは。
データを最大限活用すること。たとえば懲罰データを活用するか否かは企業判断に左右されるが、とある人事異動の場面で活用できなかった。(人事データは)守秘性が高く、人事部が提示しないと誰も分からない。守秘性が高いデータでも属性の秘匿を担保して積極的に活用することを意識すべきだ。
――“ニッポンの人事部”としての心構えを聞かせてほしい。人事部で働く人へのメッセージを。
大変僭越(せんえつ)だが、双日は「人事のプロ」「優秀人材の定義」の再定義に取り組んでいる。20年前と現在で定義は大きく異なるためだ。(従業員は)給料をもらう以上はプロ意識を持つべきだと思う。
人事は一緒に働いている社員に対して「成長の気付き」を与えることが大きな役割。仕事のフィードバックでも構わないし、研修での発言度合いでもいい。
24時間365日いつでも気付きを提示することで、成長曲線の角度が上がっていく。その結果、「人が成長する仕組み作り」に至るというのが私個人の“ニッポンの人事部”がやるべきことだと認識している。