2019年の現在は、デジタルトランスフォーメーション(DX)がIT部門の耳に入るようになった。定義や捉え方は企業によって異なるが、五輪特需や大型プロジェクトの活況が終わった先の2025年は、本格的なDXの時代が始まるであろう。しかし、期待されるDXは全社レベルで検討すべきビジネスの話か、IT部門が検討すべきITの話か――これまでのDXの前身に当たる方法論をもとに、2025年に想定される事象をシミュレーションし、その先のIT部門の年齢構成の変化も読み解きながら、DX時代のIT部門の姿を全8回の連載で占う。第1~4回はDXのガバナンス、第5~8回はDXのテクノロジーがテーマだ。
第1回では、「デジタルトランスフォーメーションの“誕生”を理解する--DX推進の原点とは?」を解説した。実はIT部門も、過去に情報システム子会社の誕生など、DXと似た産みの苦しみをしていた。2025年に向けて一時期にIT部門の要員構成が逆ピラミッド型になるが、さらに進んだ2035年には、この構造が解消する。
第2回では、今後DXを推進するIT部門の現状を理解する上で、IT部門はどのような変遷をたどって来たのか振り返り、今後2025年に向けてどのようなガバナンスが必要か分析していく。まず、下の図4において、2025年に向けたDXの変遷を示す。ここでは、1970年当時の「第1次オンライン」(銀行システムのコンピューター化)から2000年対応を経て、DXが誕生するまでのIT業界55年間の変遷を表している。
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ここにあるように、IT部門も過去に大幅な方向転換を実践した経験を少なからず有する。1970年代の電算化では、従来の汎用機でも体育館のような広い場所が必要なマシンから、当時の日本ユニバックが提供した潜水艦搭載型の小型汎用機「494/418」シリーズなど、省スペースの汎用機が納入できるようなビジネスへの方向の変換があった。また2000年当時には、Sun Microsystemsの64CPU搭載の「StarFire」など、UNIXを中心としたビジネスモデルに変わっていった。