シスコシステムズは11月25日、クラウド管理型の無線LAN製品「Cisco Meraki」のポートフォリオ拡充を発表した。近年はネットワークスイッチや統合脅威管理(UTM)アプライアンス、監視カメラなど、さまざまな領域にビジネスを拡大している。今回の拡充では、新たにCiscoの技術と融合を図った新たなアクセススイッチが発表され、製品の融合が順調に進捗していることを伺わせた。

会場に展示されていた新製品のデモ機。右がCatalystのハードウェア技術とMerakiのソフトウェア技術を組み合わせた新アクセススイッチ「Cisco Meraki MS390シリーズ スイッチ」、左はワイヤレスWANを実現するためのLTEゲートウェイ「Cisco Meraki MG21/21E セルラーゲートウェイ」
まず概要説明を行った米Cisco Meraki シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのTodd Nightingale氏は、同社のミッションを「パワフルなテクノロジーをシンプル化し、ユーザーが本来の業務に集中できるようにする」ことだと紹介した上で、同社のプラットフォーム戦略と今後市場投入が予定される新製品の紹介を行った。なお、プラットフォームと言われているのは、直接的には同社が提供するクラウド型の管理インターフェースである“ダッシュボード”を意味する。ここからさまざまな機器を物理的な詳細を気にすることなく統合管理できる点が同社の強みであり、「個々の製品/デバイスが優れているということにとどまらず、ダッシュボードによるプラットフォーム化がわれわれの差別化ポイントになっている」(Nightingale氏)という。

Cisco Meraki シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのTodd Nightingale氏
また、今回紹介された新製品「Cisco Meraki MS390シリーズ スイッチ」は、Cisco Catalystスイッチのハードウェア技術とMerakiのソフトウェア技術を組み合わせた形の構成となっている。買収によってMeraki製品がCiscoの製品ポートフォリオに加わったというレベルにとどまらず、両社の技術的な統合も着実に進捗していることの実例と言えそうだ。なお、MS390シリーズは2020年第2四半期から注文可能になる予定。Nightingale氏はMerakiとCiscoのフォーカスの違いについて、「Merakiはシンプル化を追求している一方、Ciscoではフレキシビリティーを重視している」と語り、技術面での統合が進んだとしても、両製品ラインアップの違いは維持されるとの見通しを明かしている。
続いて、日本国内の事業戦略について説明を行ったジャパン カントリー リードの山移雄悟氏は、2015年度(2015会計年度)にアクセスポイントからスタートしたMeraki事業が年々倍増ペースで成長している一方でアクセスポイント以外の製品売上が伸びていることからアクセスポイント製品の売上比率は下がっており、直近のデータでは約40%になっていることを明かし、同社のポートフォリオ拡充の取り組みが市場からも支持されている現状を明らかにした。

シスコ メラキ ジャパン カントリー リードの山移雄悟氏