今から始める“未来の働き方”--なぜ検討すべきか、何が不足しているのか

永長純 小林伸睦 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2019-12-20 06:45

 大衆文化に描かれる製造では、労働者が組み立てラインに立ち、手でモノを作っている場合がほとんどです。現代の実際の生産施設はこれとは大きく異なり、従業員とロボットが一緒に働き、また遠くない将来には人工知能(AI)をのせたロボットによってリアルタイムの協業すら可能になると思われます。

 従業員は現場の製造プロセスをデスクトップPCやノートPC、あるいはタブレットを通じて監督し、メンテナンスやアップデート、管理作業は遠隔操作で行われます。機械や製造する商品のためのアプリケーション作成はアジャイルな生産工程の一環として急速に組み込まれてきており、またグローバルに分散したチームによってオンラインで行われるようになっています。

 すべての産業分野の多くの企業において、Future of Workはこのようになると思われます。

 デジタル革命は、仕事がはるかに柔軟でアジャイル、動的、かつユーザーフレンドリーなものとなる、未来の職場環境への可能性を拓きました。仕事がオフィスの机など特定の場所、午前9時から午後5時までの勤務時間、あるいは特定の構成の機器に固定されていた時代はもはや過ぎ去りました。今日の仕事はモバイル機器があればどこでも、また時間帯をまたがって、いつでも自ら選択したアプリケーションを使って安全、柔軟に行うことができます。

 このことはなぜそれほど重要なのでしょうか? たとえば通勤客で混雑する東京首都圏を考えてみます。

 平日の朝の電車は大半の人の想像を超えて混雑しています。首都圏の従業員は平均して1時間以上を通勤に使っており、調査では大半の人がそれをストレスに感じていることが示されています。

 このため日本ではフレックスタイム制が導入され、東京都庁は2017年にリモート勤務を推進するイニシアティブを開始しました。アジアや世界各地での都市圏スプロール現象に伴う都市交通の崩壊を防ぐためには、柔軟な労働環境が極めて重要となります。

 アジアを旅行した時に最初に気付くのは混雑した交通状況です。しかし、おそらく次に気付くのは、アジアの大半の国には若い人々が非常に多いことです。その多くが高いスキルを持つ、若い働き手の人材プールが驚くほどの幅広さで存在します。

 このような若いプロフェッショナルは最新のテクノロジーを熟知しており、また2020年までには、生まれながらのデジタル世代である“Y世代(Generation Y)”と“Z世代(Generation Z)”が世界の企業雇用者の半数近くを占めるようになります。これらの人々は雇用者となる企業に、デジタルを原動力とするワークスタイルをもたらします。

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