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企業セキュリティの歩き方

自然災害とサイバー攻撃--ガンダムに例えられた八ッ場ダムの意義から考えるセキュリティ

武田一城 (ラック)

2019-12-27 06:00

 本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。

 自然災害のリスクは、人間の生命を左右することもあって、サイバー攻撃以上のリスクになる。2019年に関東地方に上陸した台風19号は、その風雨が各地に大きな傷跡を残し、ニュースでは「生命を守ることが最優先」と、繰り返し呼び掛けられた。ゼロメートル地帯が多く存在する東京23区東部などでは、河川の氾濫で数百万人がこの地域の外に避難しなければならない一歩手前の事態にもなった。そして、各所で多くの被害があった。このことは、日本が世界有数の災害大国であることを私たちに思い出させた。さらに、今世界的な問題となっている地球全体の気候変動とも相まって、より多くの人々の心に自然災害のリスクが深く刻まれたことだろう。

 この自然災害と同じように、その猛威が人間の予想を超えて今後も拡大していくという点はサイバー攻撃にも当てはまる。しかしながら、日常的にサイバー攻撃の脅威と隣り合わせで生きているという感覚をお持ちの方はそれほど多くはないだろう。だからこそ、本稿では、この一見あまり関係ない自然災害とサイバー攻撃を比較してみることによって、その脅威がいつしか自分に降りかかるかもしれないものであることを少しでも実感してほしいと考えている。

ガンダムに例えられた八ッ場ダム

 「完成したてで全力とかガンダムかよ!」。この非常に訴求力の高い表現は、2019年10月に関東地方に上陸した台風29号による災害の後、Twitter上でいきなり拡散した。

 アニメ「機動戦士ガンダム」の冒頭には、急な敵襲を受けて主人公の少年アムロ・レイがまだ試験運用中だったガンダムに偶然乗り込み、敵をガンガン倒して戦果を挙げるシーンがある。これに例えて、竣工したばかりで試験湛水中だった群馬県の八ッ場ダムが一夜で台風の雨の水をいっぱいまで貯留し、下流の地域を水害から守ったと話題になった(それが事実であるかの議論は割愛する)。

 しかし筆者は、この状況を見て同じガンダムでも別のシーンを思い浮かべた。「やらせはせんぞ! 貴様ごときモビルスーツに、ジオンの栄光をやらせはせん! この俺がいる限り、やらせはせんぞーっ!」という台詞である。

 これは、機動戦士ガンダムの第36話「恐怖!機動ビグ・ザム」の中で、ジオン公国軍宇宙攻撃軍司令ドズル・ザビ中将が言ったものだ。ファンにはおなじみのシーンだが、巨大なモビルアーマー「ビグ・ザム」に乗り込むドズル・ザビが、アムロの操縦するガンダムとの戦いの中で多くの味方を失い、ビグ・ザムも甚大な損傷を受けた。最後にドズル・ザビは、機体の外に体一つで乗り出し、自動小銃をガンダムに向けて乱射し、この台詞を叫ぶシーンである。

 ドズル・ザビは身長2mを超える巨漢で、悪鬼羅刹のような表情は、幼少期の筆者に衝撃を与えた。そして、なぜかこのシーンが、台風の豪雨に耐えられずダムが次々に緊急放水を行って幾つもの河川が増水し、堤防が決壊して濁流の中に孤立無援の状況に置かれた様子と重なって見えた。

 八ッ場ダムでは、6月から試験湛水を行っていて、当初は数カ月をかけて水をためていく計画だったという。台風19号の上陸前は、まだそれほど水がたまっておらず、通常では考えられないほどの台風の豪雨を受け止めることができた。結果的に、堤防の決壊が予想された利根川水系(や荒川水系)の人口密集地域にはそれほど大きな被害が発生しなかった。試験運用にもかかわらず大活躍したこと、そして、(ガン)ダムだったことから、先のツイートはその共通点を機動戦士ガンダムで言い表したとのだと思われる。

 八ッ場ダムは、1950年代に調査が開始されたものの、その後の水資源に関する考え方の変化や膨れ上がった総工費(計画時の2倍以上の5320億円)などの影響で、完成までに紆余曲折があった。その過程では政治的な影響も受けたが、苦難を乗り越え完成した経緯がある。それだけに、思わずガンダムの活躍に例えてしまいたい心情は言い得て妙だと言える。

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