北海道情報大学は、食の保健機能研究の発展に向けた人工知能(AI)の教育基盤を構築し、その一環として日本IBMと連携した。同社のAI「IBM Watson(Watson)」を活用して地域や社会に貢献できるAI人材の育成に向けた教育プログラムを開発し、2020年度にこのプログラムを用いた教育を開始することを予定している。
最初の取り組みとして、AIによりロボットが地域住民に食を通して健康をアドバイスするリコメンドシステムのプロトタイプを開発。これを用いて現在、ロボットを開発しながらAIの機能や活用を基礎から学べる教育プログラムを開発している。
このプログラムでは学生自身が身近な領域からテーマを選択し、Watsonと連携するロボット「TJBot」を使用して利用者と具体的な応答を行うロボットを開発する。初級から上級まで3つのレベルが用意されており、初級では講師側が用意したアプリを利用し、シナリオに従ってAIアプリを構築。そして中級では学生自身がシナリオを構築、上級ではアプリ作成からシナリオまで全てを構築することになっている。
プログラム内で開発するロボットとシステムでは、Watsonの音声認識サービス「Speech to Text」を用いて、話しかけられた音声をテキスト化。また、照会応答サービス「Watson Assistant」、自然言語による文書検索サービス「Watson Discovery」を導入し、多様な会話を目指すという。これらの仕組みは「IBM Cloud」上で実装している。
システムが実現するシナリオの例としては、利用者から受けた食材の機能性に関する質問に答えたり、利用者が選んだ好みの食材をもとに本人に合ったアドバイスを提供したりすることがある。現在は初級から中級の開発に取り組んでおり、初級では高齢者の膝の痛みについてサンプルとなるシナリオを提供し、痛みを軽減する食べ方や食材などについてアドバイスする仕組みが用意されている。