日本で2030年に1兆3000億円規模の有望市場へ
住友商事、IIJ、愛媛CATV、RWJは、ケーブルテレビ連盟とともに、2019年にローカル5Gを活用した国内初の実証実験を実施し、ローカル5Gの利活用に向けた検証を行った。また、ケーブルテレビ各社は、従来の有線をベースとしたケーブルテレビ事業のみならず、地域BWAやMVNOを活用した無線サービスを展開し、有線、無線それぞれの事業運営ノウハウと多くの顧客基盤を築いてきた。
ちなみに、地域BWAは情報格差解消や地域の公共福祉増進に寄与することを目的に導入された無線システム、MVNOは移動体通信事業者から通信回線を借り受け、自社ブランドサービスとして提供する通信サービスのことである。
住友商事、IIJ、ケーブルテレビ事業者5社、RWJは、それぞれの持つノウハウを最大限活用し、グレープ・ワンを介した無線プラットフォーム事業の展開を通じて、ローカル5Gの普及、拡大や、ローカル5Gを活用した地域課題の解決、地域創生への貢献に取り組むとしている。
以上が、ローカル5Gの活用を目的とした無線プラットフォーム事業の展開に向けた協業の発表内容である。注目されるのは、商社、ICTベンダー、ケーブルテレビ事業者といった多彩な顔ぶれの協業であることだ。いずれもローカル5Gに新たなビジネスチャンスを見出そうとしている。
ローカル5G市場にはどれほどのポテンシャルがあるのか。一般社団法人電子情報技術産業協会によると、同市場の世界需要額の見通しは年平均65.0%増で成長し、2030年には10兆8000億円に拡大。日本では年平均71.3%増で成長し、2030年に1兆3000億円規模になるとしている。(図1)
図1:ローカル5G市場の世界と日本の需要額見通し(出典:一般社団法人電子情報技術産業協会)
これだけの潜在市場に向けて、2020年はまさに新たなビジネスチャンスを切り開く年となる。しかも通信基盤なので、あらゆる産業および企業が対象となる。自分の会社にはどんなチャンスがあるのか。ぜひとも一度、考えてみていただきたい。