(前回までのあらすじ)
あるメーカーの情報システム部の中野さん、会社では「データセンター移転プロジェクト」のリーダー、プライベートでは結婚する彼女と一緒に住むための新居探し……。期せずして二つの「引っ越し」に向かい合うことになってしまった。
第1回では「新居で一緒に住む家族」にあたる「データセンターに今後収容するシステム」の計画を確認した。第2回、第3回、第4回では、アクセスや広さ設備など、引越先のデータセンターに求めるスペックの考え方と検討ポイントについて検討した。
2019年の映画『引っ越し大名!』をご存知でしょうか? 江戸時代、大名は藩の引っ越しである「国替え」を命じられることがありました。遠方まで藩士と家族と家財を運ぶ一大事業。そのリーダーである“引越奉行”に星野源さん扮する藩士が任じられ、未経験ながら努力と知恵で周囲を動かしていく……。
その様子は「まさにデータセンター移転に任じられたプロジェクトマネージャー!」と思ったのは筆者だけでしょうか。映画序盤で、大量の家財を運ぶ費用を削減すべく、荷物の仕分けを命じられる部分、ここは今回のテーマである「何を持っていく? 捨てる? 買う?」とも関連しますので、データセンター移転計画にかかわる皆さんにはおすすめです。
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さて、この連載での引越奉行である中野さん、プライベートではやっと新居のマンションを契約できそうです。ここから約1~2カ月で新居に引っ越しするわけですが、彼女も自分も1人暮らしだったので、重複する家具や家電などを整理して、持ち込むものを相談しています。
「しばらくは共働きだし、乾燥機付きのドラム式洗濯機を買うと夜でも洗濯しやすくて便利じゃない?」
「う~ん、10万円以上するし、しばらくは2人のうち新しいものを使うのはどうかなあ」
「そうかな、引越先に買っておいた方が搬入もしやすくていいんじゃない? ここは投資どころでしょ。……ねえ、ところで、この本棚と本、全部持っていく気じゃないよね?……」
「えっ、ダメかな?」
「これ大学の教科書じゃない? さすがにもういらない本は捨ててよ~!」