富士通総研は、大企業におけるデジタルマーケティングの成果を出すポイントを探るため、取り組みの実態を調査し、結果を発表した。
この調査は、年商1000億円以上の民間企業に勤務するデジタルマーケティング担当のマーケターを対象に、インターネット調査で実施された。調査時期は2019年10月で、回答回収数は1294人。
これによると、デジタルマーケティングを実践しているマーケター1294人の回答から、担当しているデジタルマーケティングは「ビジネスに貢献している」と75.5%が考えていると分かった。
デジタルマーケティングのビジネス貢献状況(出典:富士通総研)
その他の結果としては、「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した(41.1%)」など、新たな手法による分かりやすい効果を得ていた。またデジタルマーケティングに取り組むことで副次的な効果も出ているという。例えば、「社内がデジタルマーケティングの重要性や効果を認識するようになった」が51.2%、「データを基に営業やマーケティグ活動をするようになった」が39.8%となっている。
同調査において富士通総研はビジネスへの貢献度合いを3段階に分け、「貢献していない」と合わせて、4段階のデジタルマーケティング成熟度を定義した。調査結果は、第1段階「トライアル」が24.5%、第2段階「部分最適」が49.9%、第3段階「全体最適」が15.7%、そして第4段階「リーダー」が9.9%となった。「トライアル」は、BtoC(対消費者ビジネス)が17.4%に対してBtoB(対法人ビジネス)は29.7%で、BtoBはトライアル段階が多かった。
デジタルマーケティング成熟度の分布状況と対象顧客による違い(出典:富士通総研)
さらに成熟度の段階による違いを見ると、「トライアル」や「部分最適」は「デジタルマーケティングの戦略やロードマップがある」の比率が低く、「経営層が入ってデジタルマーケティングを牽引している」にも差があった。
デジタルマーケティング成熟度の段階による違いの例(出典:富士通総研)
富士通総研では、「トライアル」や「部分最適」が次の段階に進むには、戦略やロードマップを明確にして目指す方向を社内で共有した上で、トライアルで得られた成果を通して社内の意識を変革しながら、強力なリーダーシップで取り組みを牽引することが大切だとしている。
また先行する「リーダー」は、「顧客体験提供が競合会社より進んでいる」と思う比率が91.4%と高いのと同時に、課題として50.0%が「データが不足している」を挙げていた。特に大企業では、部門ごとに独自で取り組んでしまうことが多いので、部門間の調整のためも全体を統括するリーダーシップが必須になるという。