キヤノンITソリューションズ（キヤノンITS、港区）はウェブアプリケーションの開発環境と実行環境を利用できるクラウドサービス「WebPerformer Cloud」を1月31日から販売する。税別利用価格は同時アクセス可能な開発者の数が2人で30万円、5人で50万円。3カ月以上の利用が前提。1月21日に発表した。
WebPerformer Cloudは、Javaベースのウェブアプリケーションを自動生成するツール「Web Performer」を中核とする開発環境と実行環境を利用できる。Amazon Web Services（AWS）の東京リージョンで稼働している。
開発環境は、JavaサーブレットとJavaServer Pagesを実行するためのウェブコンテナである「Apache Tomcat」やリレーショナルデータベース（RDB）の「PostgreSQL」、統合開発環境（IDE）の「Eclipse」などで構成。開発者は、HTML5ベースのリモートデスクトッププロトコル（RDP）接続ツールである「Ericom AccessNow」からアクセスする。PCとブラウザがあれば利用できるようになっている。
AWSでGitベーツのリポジトリをホストするソース管理サービス「AWS CodeCommit」を活用して開発モジュールを管理する構成管理機能も統合。継続的インテグレーション（CI）を実装したり複数人で開発したりできる。
実行環境にはAWSでウェブアプリケーションを実装、管理するサービス「AWS Elastic Beanstalk」やマネージドのRDBサービス「Amazon Relational Database Service」（エンジンはPostgreSQLに限定）もあわせて提供。Web PerformerとElastic BeanstalkやRDSをAPIで統合して、開発環境で生成したウェブアプリケーションを数クリックで実行環境に実装できるという。
実行環境のデータバックアップや監視サービス、障害復旧の自動化などキヤノンITSの運用保守サービスが含まれている。
オプションで提供されるDataSpiderを利用すれば、外部の統合基幹業務システム（ERP）やIoTなどにあるデータとやり取りすることもできる。税別価格は基本構成が350万円～、月額ライセンスが24万円～となっている。
2005年から提供されているWeb Performerは、設計した情報を登録して、ウェブアプリケーションを自動生成するツール。データベースのスキーマ情報として「データモデル」、画面情報として「入出力」、必要に応じて業務フローとして「ビジネスプロセス」の3つを定義する。
定義後、Web Performerのアプリ生成ボタンを押すと、ウェブアプリケーションが生成される。モバイルの入出力を定義すれば、スマートデバイスからアクセスできるウェブアプリケーションも開発可能。
GUIのエディタでマウス操作で画面を設計できる。画面はプレビュー機能で生成後のイメージを確認しながら設計可能。定義した情報からER図や画面遷移図、画面使用、フローチャートなどの仕様書も生成できる。テストも自動で実行することも可能だ。
WebPerformer Cloudを活用すれば、他の拠点と共同で開発するといった体制を取ることができ、ニアショアに適用することも可能だ。オンプレミスのWeb PerformerとWebPerformer Cloudを組み合わせて使うこともできる。
キヤノンITSは、ウェブアプリケーションの稼働状況や負荷分散を考慮して、実行環境をカスタマイズできるサービスのリリースを5月末に予定している。
WebPerformer Cloudの概要（出典：キヤノンITS）
