事業継続性という観点から考えて、もしオフィスがあるビル全体への出入りが禁止になったら、どうしたことが起きるのか想像力を膨らませる必要がある。IT部門であれば、オンプレミスで稼働するシステムにはどうした対応が可能だろうか? 代替サイトがあるのであれば、切り替え作業を用意しておくことも検討した方がいいだろう。
舘野氏によれば、日本企業は水害や台風、地震などの自然災害を想定したBCPは進んでいるが、感染症対策を意識したBCPはそれほど進んでいないという。
それでも、2003年の重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)や2009年の中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)を経験した企業であれば、感染症対策を踏まえたBCPの具体策が社内のどこかに眠っているかもしれない。それらを引っ張り出して、2003年や2009年には充実していなかったテレワークをどう活用できるかを組み込んで検討することができる。
以下は、新型コロナウイルス対策として何を考えるべきか、舘野氏の提案だ。
- テレワークを推奨するのであれば、在宅勤務を前提とする
- 従業員の自宅にPCやインターネット接続環境があるかを確認し、ない場合には機器の貸し出しの準備をする
- 自宅での業務が困難な従業員に対しては、サテライトオフィスを用意する
- 出退勤のルールを緩和し、従業員が自発的に時差出勤できる制度とする
- テレワーク制度が整っていない企業でも、従業員が自発的に行う在宅勤務を期間限定で認める
- 従業員の私物のスマートフォンから少なくとも会社のメールとスケジュール程度はアクセスできるようにする
「これからは、ある日突然、オフィスが入居しているビルが全館閉鎖になるといった事態も想定しておかなければならない。テレワークができればよいが、それだけが解決策というわけでもない。知恵を絞り、業務を止めないための準備を進めることが肝要だ」(舘野氏)