「働き方を変えるためには、まず意識を変えていくことが重要です。政府しても働き方改革を推進する中でテレワークがその有効なツールだと考え、積極的に推進しています。またテレワークはツールであり、業務をいかに改善するかという業務改革と合わせて推進することが重要です」
3月14日に開催されたセミナー「働き方はこうやって変える--生産性向上への最適解は徹底的なデジタル化」(TechRepublic Japan主催)に総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室長 飯村由香理氏が登壇。冒頭のように切り出して、政府がテレワークをどのように捉え、企業の生産性向上や業務効率化、人材確保などに向けた支援策を紹介していった。
総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室長 飯村由香理氏
就活生も注目、テレワーク制度のある企業が選ばれる時代に
飯村氏は、1999年4月郵政省に入省後(2001年から総務省)、2006年に情報流通高度化推進室課長補佐として総務省内テレワークの導入など担当、保育園に子どもを通わせながら自らもテレワークを実践してきた経験がある。
「テレワークはICTを活用して時間や場所を有効に活用できる働き方です。従来は育児介護の方が在宅勤務する際に使うというイメージが強くありましたが、今は営業の方がモバイルワークで直行直帰したり、サテライトオフィスで働いたりと、効率的に働くために活用されています。内閣府の調査では、テレワークを積極化している企業の6割以上で労働時間が減少し、労働生産性は13〜18%向上することが確認されています」
総務省の調査でもテレワーク導入で「非常に効果があった」と「ある程度効果があった」を合わせると82%に達する。学生などへのアンケートでもテレワークを導入していることが、その企業の選定理由になるとの回答が約半数に達している。
このように、テレワークの効果やメリットが就職希望者も含めて社会的に広く認識されてきている状況にある。
テレワーク導入企業は2割未満、求められる「意識改革」
しかし、十分に普及しているとは言い難い側面もある。総務省の「平成29年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業は13.9%にすぎず、導入予定を含めても18.2%にとどまる。導入済みの企業でも、利用者数が従業員の5%未満の企業が51.4%にも上るのが実態だ。
「柔軟な働き方をしっかり浸透させていくためにはテレワーク導入企業の拡大を図ることと、導入済み企業での利用率拡大を図ることが求められます。政府としても、KPI(評価指標)として2020年までに2012年度の11.5%の3倍の34.5%に伸ばすこと、テレワーク制度などに基づく雇用型テレワーカーの割合を2016年度比の2倍の15.4%にすることを掲げて強力に推進しています。地域や中小企業の方にメリットを訴えていくことが重要だと思っています」
普及が進まない要因としては、大きく、技術・文化面での課題と、労務・人事面での課題がある。前者は具体的には「社内コミュニケーションに不安がある」「顧客など外部対応に支障が出る」「情報セキュリティが心配」というもの。後者は「テレワークに適した仕事がない」「適切な労務管理化が困難」「人事評価が難しく対象者限定」などだ。