また少なくとも年に一度、アプリケーションの復旧から危機発生時のコミュニケーションまでのすべてにわたる全面的なシミュレーションを実施します。また緊張感が失われないよう、惨事発生シナリオに新たな変更を加えた机上演習を頻繁に実施します。
4.危機発生時のコミュニケーション
パニックとスムーズな危機対応との違いを生み出すのは効果的なコミュニケーションです。電話やメール、広報、イントラネット、インスタントメッセージ、テキストメッセージ、企業ウェブサイトを含む、あらゆるコミュニケーションチャンネルにわたるツールキットを作成します。
前もって緊急時メッセージのサンプルを作成しておけば、実際の緊急時にはそれを迅速に更新するだけで済みます。またプレスリリース、ソーシャルメディアへの投稿、広報担当者へのインタビューを通じ、一貫したメッセージを一般の人々に伝えられるよう準備しておく必要もあります。
5.従業員の安全確保
人々の安全を確保するよりも重要なことはありません。赤十字や消防局、警察などの地域の公的機関、米連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:FEMA)のCommunity Emergency Response Teams(CERT)などの政府機関からは、緊急時対応のトレーニングや自社のプログラムに対するその他の指導が得られます。対応手順を職場の人員や施設、場所にあわせて調整し、全員参加のうえで定期的にそれらの見直しとテストを行います。
6.ビジネスリソースへの中断なきアクセス
人々が業務を継続できるようにすることは、生産の維持だけではなく、データを保護するとともに、顧客がどのように対応して良いかわからない状況を放置しないためにも重要です。リモートアクセステクノロジーを使用すれば、自宅、ホテルの会議室、知人の家、あるいはその他のどのような安全で便利な場所からも仕事することが可能です。
モバイルワークをすでに実現している企業は非常に有利な立場にあります。従来とまったく異なる仕事手順により緊急事態に対応するのではなく、いつもと同じリモートアクセスのためのツールを、単に居場所だけを変えて使えば良いからです。
7.継続的なIT運用
最後の項目はデータセンターの継続性です。大規模な企業や組織の大半は規模と冗長性確保のため複数のデータセンターを設置しています。
何らかの理由により、計画されていたものか否かにかかわらず、いずれかのセンターが停止した場合には問題なく他のセンターに切り換え、同じアプリケーションとデータの利用を継続することができます。
- 國分俊宏(こくぶん・としひろ)
- シトリックス・システムズ・ジャパン セールスエンジニアリング本部 金融SEグループ リードシステムズエンジニア
- グループウェアからデジタルワークスペースまで、一貫して働く「人」を支えるソリューションの導入をプリセールスとして支援している。現在は、金融グループのリード・システムエンジニアとして、パフォーマンスを最大化できる働き方、ワークライフバランスを支援する最新技術を日本市場に紹介している。