KDDIは3月19日、人工知能(AI)とチャットボットを組み合わせたシステム「運用フロントAIシステム」を開発し、2020年3月中に自社の法人顧客向けサービスデスク部門に導入すると発表した。
運用フロントAIシステムの概要(出典:KDDI)
KDDIでは、法人顧客に対して多様なネットワークサービスを提供しており、質問対応や故障対応を常時行っている。一方で、顧客ごとにネットワーク環境が異なることなどにより、専門的な問い合わせに対して、いかに迅速かつ精度の高い回答を行うかが課題となっていたという。
同システムはAIを活用して、既存のFAQ(Frequently Asked Questions:よくある質問)や問い合わせ内容の履歴、マニュアルなどを基に、法人顧客の質問に対して迅速かつ正確な回答を自動的に作成する。同システムのAIは、あらかじめ学習したデータだけで回答するのではなく、顧客ごとの回線契約情報や、回線の異常に影響を及ぼす可能性がある地域の停電情報・気象情報などを組み合わせて、リアルタイムで回答文を導き出すことが可能。これにより、オペレーターが調査・対応に要する時間を45%削減することができるという。
また、サービスの契約書や各種定義書などの資料を基に専門的な用語を自動抽出し、それから推測される質問や回答文を自動生成することが可能だという。専門用語の抽出では、一般的な用語の自動検出のほか、業界や社内特有の専門用語も検出対象とする機能により、全ての専門用語を抽出することができるとしている。
加えて2020年中に、スマートフォンやタブレットから直接AIと対話する機能の導入を予定している。例えば、ビジネスチャットツールと連携させることで、KDDIの従業員が取引先を訪問した際などに、その場で同システムのAIが回答できるようにするという。
AIを用いたFAQ生成機能の概要(出典:KDDI)