長崎県五島市、KDDI、サイエンスアーツは、ツナドリーム五島の協力のもと、五島市のマグロ養殖現場において、スマートフォン向けIP無線を活用した実証実験を実施した。この実証は、2019年8月5日から2020年3月25日までの間、ITやIoTを使ったマグロ養殖作業者の円滑なコミュニケーションによる作業効率化と安全確保を目的に行われた。
五島市のマグロを養殖するいけすでは、海風の音や船の機械音により、作業者同士のコミュニケーションが取りづらいことや、作業中は手袋をしているため電話などによる通話も困難となっている。そのため必要な情報の連携をリアルタイムで行えないという課題があり、管理者が作業者の居場所も把握できず、有事の際も連絡網によるリレー形式で伝達するなど、迅速に情報を伝えることができなかった。
スマートフォンに触れることなくハンズフリーで通話ができ、位置情報などのデータ連携も可能なスマートフォン向けIP無線アプリ「Buddycom」(サイエンスアーツ製)を作業者に配備し、実証を行った。検証項目は、作業者への一斉情報伝達や数十メートル離れた作業者との会話、マップを活用した作業者の居場所把握、海風の音や船の機械音などの騒音の中での着信把握と会話、会話をテキスト化して履歴を確認することなど。
使用するBuddycomとAINAスピーカーマイク(出典:報道資料)
利用されている現場(出典:報道資料)
スマートフォンの利用画面(出典:報道資料)
今後は作業者の避難訓練においても、避難指示にBuddycomを使用し、避難指示から参集までの時間が短縮可能か検証を行う予定だ。