富士通は3月27日、国内では初となる商用ローカル5G(特定エリアで使用する第5世代移動体通信システム)の無線局(基地局および陸上移動局)の運用を開始すると発表した。同日に総務省関東総合通信局からローカル5Gの無線局の免許を取得している。

富士通が無線局免許を取得したローカル5Gシステム
無線局は、同社の新川崎テクノロジースクエア(神奈川県川崎市)に設置され、データ伝送では5G、基地局と陸上移動局との接続制御では4GのLTEの電波を利用する「5Gノンスタンドアロン」のシステム構成を採用している。通信エリアは新川崎テクノロジースクエア敷地内の約2万8000平方メートル。使用周波数帯域は、5Gが28.2~28.3GHz、LTEが2575~2595MHzになる。
同社は、2019年12月24日に関東総合通信局へ今回の無線局の免許を申請、2020年2月18日に予備免許を取得し、3月27日に本免許を取得した。
同社では、まず新川崎テクノロジースクエア内の多地点カメラで収集した高精細映像データの伝送にローカル5Gを使用する。このデータから人工知能(AI)技術で人の動作を解析し、不審な行動などを早期検知するセキュリティシステムを実現させる予定。建物内の防犯対策を強化する。また、他社と連携した事業開発の実証などにも用いる。
今後は、同社のネットワーク機器を製造する栃木県の小山工場でもローカル5Gの免許を取得したい考え。同工場で機器を製造する富士通テレコムネットワークスと共同でローカル5Gの有用性を検証することにしている。

ローカル5Gのシステムイメージ