日本損害保険協会(損保協会)は、ビッグデータと人工知能(AI)を活用した不正請求検知システムの構築に当たり、日本テラデータのデータ分析基盤を採用した。
損保協会は、日本国内の損害保険会社を会員とする事業者団体。損害保険に関連するデータを集約・管理しながら、そのデータを生かして保険金の不正請求防止などに取り組んでいる。2013年には不正請求対策を行う専門組織を設置し、不正請求防止の取り組みを強化している。
今回構築したシステムは、複数の保険会社・共済組合のビッグデータを横断的に分析することを可能にする。日本の金融業界初の取り組みという。保険金請求履歴や請求・支払いに関する不正請求事案などの情報を、システムを通じて参加会社との間で確認・共有する情報共有する機能に加え、AIやネットワーク分析などの高度な分析手法を使った検知の精度向上と自動化を可能にする。
今回導入されたデータ分析基盤は、事前定義された180以上の関数を活用することで、機械学習を含む高度なビッグデータの分析を高速に実行できる。ネットワーク分析やパス分析によりさまざまな事象の相関関係を分析可能なほか、ビジュアライゼーション機能により、グラフとして可視化することでビジネスユーザーもその相関関係を直感的に理解・分析できるという。
今回のユースケースでは、不正請求疑義事案に関与した人物や法人の関係者情報をネットワーク分析によって可視化することで、これまでに検知できなかった組織的な不正保険金詐欺グループを視覚的に捉えることが可能になる。
今後、損保協会は潜在的な不正請求をより正確に検知するために、同プラットフォームを活用し、複数の分析を組み合わせる「マルチジャンルアナリティクス」の実現と、その自動化を目指しているという。