本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフトの平野拓也 代表取締役社長と、日本テラデータの高橋倫二 代表取締役社長の発言を紹介する。
「4つのクラウドプラットフォームでダイナミックなビジネスを推進したい」
(日本マイクロソフト 平野拓也 代表取締役社長)
日本マイクロソフトの平野拓也 代表取締役社長
日本マイクロソフトが5月29日から2日間、開発者向けの年次イベント「de:code 2019」を都内ホテルで開催した。平野氏の冒頭の発言は、その初日の基調講演で、ビジネスへの意欲を示したものである。
このイベントは、米Microsoftが5月上旬に米国シアトルで開催した開発者向けイベント「Microsoft Build」で発表した内容をもとに、日本での施策も含めて紹介したものだ。およそ3時間にわたった基調講演のハイライトについては関連記事をご覧いただくとして、ここでは平野氏の冒頭の発言にもある「4つのクラウドプラットフォーム」にフォーカスしてみたい。
下の図に示したのが、その4つのクラウドプラットフォームである。IaaSとPaaSに加えて人工知能(AI)のインテリジェンスを備えた「Microsoft Azure」を基盤として、CRM(顧客関係管理)などの業務アプリケーションやデータ分析プラットフォームからなる「Microsoft Dynamics 365 & Power Platform」、 コミュニケーションとコラボレーションのプラットフォーム「Microsoft 365」、そして新たなプラットフォームとして「Microsoft Gaming」が加わった形だ。
図:Microsoftが新たに示した「4つのクラウドプラットフォーム」
この図は先述したBuildで初めて紹介されたが、Microsoftにとってはいわばビジネスのプラットフォームである。だからこそ、図のタイトルに「opportunity」という言葉が入っているのだろう。ちなみにGamingが新たに加わったのは、ソニーとの提携が大きく影響しているようだ。この話についてはこちらの関連記事を参照していただきたい。
振り返れば、日本マイクロソフトはおよそ5年前、Dynamics 365の中核サービスであるDynamics CRM Online、Microsoft 365の中核サービスであるOffice 365、そしてAzureの3サービスを「クラウド3兄弟」と名付けて拡販に注力していた。その後、それぞれに再編・統合された形だが、5年前と大きく違うのは、Azureが“共通基盤”になっていることである。
もう1つ、プラットフォームをめぐる動きで印象に残っているのは、Azureの冠名をめぐる話だ。2014年4月、MicrosoftはAzureの名称を「Windows Azure」から「Microsoft Azure」に変更した。そのとき、日本マイクロソフトの当時の首脳が筆者の取材に、「AzureはWindowsのクラウドから“何でもあり”のクラウドになる」と語ったのを今も鮮明に覚えている。Azureの冠名をめぐる話はこの関連記事を参照していただきたい。
改めて、今回のイベントで紹介された最も基本となる話は、図に示された4つのクラウドプラットフォーム、つまりMicrosoftのビジネスプラットフォームである。ここではそのことを強調しておきたい。