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今夏に日本進出--「店舗のサブスク」b8taが変革する小売りの世界

大場みのり (編集部)

2020-04-17 07:00

 b8ta(ベータ)は「店舗のサブスクリプションサービス」を展開する米国企業。同社は、店舗の区画をさまざまなメーカーに定額で提供している。また、店内では来店客のデータを収集しており、出品者はそのデータを製品開発や販売戦略に生かすことができる。b8taは2015年、サンフランシスコ近郊のパロアルトに同名の店舗「b8ta」をオープン。現在、米国に23店舗、ドバイに1店舗を構えている。

テキサス州オースティン店の内観イメージ(出典:b8ta Japan)
テキサス州オースティン店の内観イメージ(出典:b8ta Japan)

 そしてb8taは2020年夏、新宿マルイ本館と有楽町電気ビルへの出店を皮切りに、日本へ進出する。同社は、ベンチャーキャピタルのEvolution Venturesと合弁でb8ta Japanを設立。丸井グループ、三菱地所、カインズがEvolutionに出資するほか、凸版印刷もb8taに出資している。加えてb8ta Japanは現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「b8ta スタートアップ・D2Cサポートプログラム」を実施している。

 本記事では日本店舗のオープンに先駆けて、b8ta Japan カントリーマネージャーの北川卓司氏と、技術面を中心に支援する凸版印刷 事業開発本部 戦略投資センター POC部 部長の宮田智博氏、同社 情報コミュニケーション事業本部 マーケティング事業部 部長の村田高章氏に話を聞いた。

ーー海外店舗はドバイのみという段階で、日本に進出する理由を教えてください。

北川卓司氏(出典:b8ta Japan)
北川卓司氏(出典:b8ta Japan)

北川氏:理由の1つとして「日本の方が数多く米国の店舗を訪れている」ということがあります。特にサンフランシスコには日本の駐在員が大勢住んでおり、企業が視察に行く際は、よくb8taの店舗をコースに入れてくださるそうです。またTwitterアカウントのフォロワーや、b8taについて投稿してくださる方も日本人の割合が多いです。そんな中、複数の日本企業から出資の話をいただき、2020年に東京五輪が予定されていたこともあり、日本を3カ国目に選んだと米国本社から聞いています。

ーー凸版印刷はどのような背景のもと、b8taへの出資に至ったのでしょうか。

宮田氏:近年、D2C(Direct to Consumer)ブランドの急増など、流通システムが大きく変化しており、われわれの主要顧客であるメーカーや小売店も対応を迫られています。ある時、シリコンバレーに駐在している投資部門の従業員からb8taの話を聞き、主に新業態のメーカーに向けて事業を展開し、急速に業績を伸ばしている点に着目しました。

ーーデータを収集する仕組みを教えてください。

北川氏:2種類のカメラが天井に設置されており、1つは来店客の年齢層(10歳刻み)と性別を予測し、もう1つは店内での行動を計測します。後者では、来店客が区画を通り過ぎることを「インプレッション」、区画の前で5秒以上立ち止まることを「ディスカバリー」と呼び、ディスカバリーがあると「商品に興味を持っている」とみなします。また、店舗のスタッフ「ベータテスター」がデモを実施した回数も計測します。カメラは、シリコンバレー発の企業Retail Nextが開発したものです。既存店での実績があるので、日本の店舗にも導入しました。

 カメラの計測結果は、われわれが開発したダッシュボードで確認することができます。また、店内にある同じカテゴリーの商品と計測結果を比較することも可能です。加えて、出品者がベータテスターと直接やりとりできるチャット機能も付いています。出品者がベータテスターに「昨日、20代女性の来店が急増しましたが、何か見て来られたのでしょうか」といった質問をしたり、来店客が難しい質問をした際にベータテスターが出品者に確認したりすることができます。

ーーb8ta Japanの事業において、凸版印刷はどういった取り組みをする予定ですか。

村田氏:まず、われわれの顧客基盤を生かし、出品者の開拓を支援する予定です。顧客には多様な業界のメーカーがおり、その数は2万社以上に上ります。その上で、3つのことに取り組む予定です。

村田高章氏(出典:凸版印刷)
村田高章氏(出典:凸版印刷)

 1つ目は販促コンテンツの制作です。出品者は来店客の理解を促進するため、店内のタッチデバイスに動画などの販促コンテンツを入れます。われわれは高精度なコンテンツの制作を自負しており、出品者から受託する形で現在進めています。2つ目は、メーカーがb8taへの出品を経て全国で販促活動をする際、収集されたデータの使い方を提案します。3つ目は、凸版印刷の顧客でb8taに出品したメーカーに対し「消費者が何を見て来店したのか」「来店後どのような行動を取ったのか」という情報を提供します。来店後の行動には「メーカーのアプリケーションをダウンロードした」「b8taでは買わなかったけれども近隣の家電量販店で買った」といったことがあります。

ーーb8taでは従来、どのような製品を扱っていますか。

北川氏:シリコンバレー発ということもあり、オープン当初からガジェットを中心に扱っていますが、認知度の向上に伴い、ライフスタイルグッズやコスメの出品も増えています。また最近では、サブスクリプションモデルの製品を多く取り扱っています。サブスクリプションモデルはその場で売り尽くさない分、一般的な小売店ではあまり歓迎されません。一方b8taでは、売り上げをKPI(重要業績評価指標)としていないので、サブスクリプションモデルとの親和性が高いのです。

ーー日本の店舗では、どういったものを取り扱う予定ですか。

北川氏:最初のうちはガジェットという軸を崩さない方がいいと思いますが、b8taのコンセプトが「発見」ということを考えると、必ずしもガジェットである必要はないと思っています。何をもって「発見」かは人それぞれ違うので、あまり自分たちで間口を狭めずにいろいろなものを置いていきたいです。個人的には、ガジェットとは正反対の伝統工芸品などにも注目しています。最新のテクノロジーではないにしろ、日本人だけでなく外国人観光客の方にとっても面白みがあるものだと感じるのです。伝統工芸品などの分野では、販路に課題を抱えている事業者もいると思うので、日の目を浴びられるようにという意味でも置けたらいいと考えています。

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