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美容師教育サービス「hairVR」提供へ--学習の質と効率向上で離職率の低下目指す

大場みのり (編集部)

2020-02-28 07:00

 近年、企業研修への仮想現実(VR)の活用が進んでいる。小売大手のWalmartは2018年、自社の従業員が接客のノウハウなどを学べるVR研修プログラムを用意。2019年には、JALグランドハンドリングが飛行機のけん引訓練にVRを活用し始めた。

 そんな中、美容師の教育にもVRが活用されようとしている。これを実現するのは、SES(システムエンジニアリングサービス)事業などを展開するTres Innovationが開発した「hairVR」だ。同サービスによりアシスタント(スタイリストの補佐をする美容師)は、スタイリスト(一人前の美容師)が持っているカットやカラー、パーマなどの技術を学ぶことができる。本記事では3月1日の一般提供に先駆けて、hairVRの事業責任者であり美容師としての経歴を持つ池島純氏らに話を聞いた。

Tres Innovation 事業責任者の池島純氏(中)、リードエンジニアの杉田尚哉氏(左)、VR事業部 hairVRの本加夏子氏(右)。hairVRの事業は3人で行っており、杉田氏は開発を、本加氏はSNSの運用や動画の撮影などを担当している(本加氏は取材当時、入社して3週間)。戦略に関しては3人でミーティングをしながら決めている。
Tres Innovation 事業責任者の池島純氏(中)、リードエンジニアの杉田尚哉氏(左)、VR事業部 hairVRの本加夏子氏(右)。hairVRの事業は3人で行っており、杉田氏は開発を、本加氏はSNSの運用や動画の撮影などを担当している(本加氏は取材当時、入社して3週間)。戦略に関しては3人でミーティングをしながら決めている。

ーーhairVRを開発した背景を教えてください。

池島氏:美容師として働く中で、美容業界にはITで改善できる点がたくさんあると感じていました。元々は美容室で扱うカルテを管理するアプリケーションを開発したいと思っていましたが、考えているうちに他社から似たようなサービスが提供されてしまいました。その後もずっと美容×ITのテーマで何かできないかと考える中で、当時VRの概念が日本で浸透し始めたこともあり、VRを活用して学習の質や効率を高めるサービスを着想しました。

ーーVRで技術を学ぶことにより、どういったことが期待されますか。

池島氏:アシスタントは従来、スタイリストから直接指導を受けて技術を学んでいます。そのため指導を希望する際は、双方の時間を確保する必要がありました。hairVRでは、技術の習得度をスタイリストが確認する必要があるものの、毎回付きっきりで教えることはなくなります。そのため、アシスタントはこれまでより効率的に学べるようになり、スタイリストは指導をする負担が軽減するというメリットがあります。

 最近はスタイリング技術を動画として残す美容室も増えていますが、VR動画ではユーザー自身が体験している感覚になるので、記憶の定着率が上がると考えられます。学習方法と定着率の関係を示した図「ラーニングピラミッド」によると、視聴覚による定着率は20%である一方、自ら体験することによる定着率は75%だといいます。

 さらに、学習の質や効率が向上することで、アシスタント期間の短縮が期待されます。アシスタントからスタイリストになるまでの期間は大体3年と言われていますが、美容師の約80%が3年以内に離職します。アシスタント期間は給与が少ない上に、営業時間外での練習や準備・片付けで忙しいことなどから、多くの人がスタイリストになる前に辞めてしまうのです。そのため、hairVRによりアシスタント期間が短くなることで、離職率の低下につながるのではないかと考えています。

ーーアシスタントがhairVRを利用するのは、どんな時でしょうか。

池島氏:営業時間の前後や定休日のほか、営業中の空き時間にもバックヤードで利用できます。従来の練習も営業中に行うことはありますが、マネキンの用意や片づけをする必要があるので慌ただしいです。一方、hairVRはVRゴーグルを着けるだけなので、営業中でも手軽に学習することができます。

ーーhairVRは全て自社で開発したのですか。

杉田氏:VR視聴アプリケーションに関しては、ピクセラのパノラマVRアプリケーション「パノミル」をhairVR向けにカスタマイズしてもらいました。具体的には、サブディスプレイをユーザーが見やすい位置・サイズにしたり、hairVRのユーザーだけが見れるようにしたりすることを依頼しました。サービスの登録やログインはウェブで行い、視聴する際にアプリケーションが立ち上がる仕組みです。

ーーVR動画のほか、美容師の方々が施術している周囲6視点から撮影しているそうですが、どうやって撮っているのでしょうか。

池島氏:VR動画は美容師目線にするため、美容師さんの体にカメラを付けて撮影しています。左右、斜め左前、斜め右前、正面にカメラを設置し、弊社の本加がカメラマンとして美容師さんについて回って撮影しています。

VRゴーグルから見たhairVRの動画イメージ(出典:Tres Innovation)
VRゴーグルから見たhairVRの動画イメージ(出典:Tres Innovation)

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