ガートナー ジャパン、テレワーク効率化に向けて検討すべき取り組みを発表

NO BUDGET

2020-04-20 15:26

 ガートナー ジャパンは、企業がテレワークを効率化するために検討すべきペーパーレスやファイル活用への取り組みについて発表した。

 アナリストでバイスプレジデントの鈴木雅喜氏は「社内でほとんど紙を使っていない日本企業は、既に3割を超えている。テレワークを進める上で『紙問題』にまだ悩んでいる日本企業は、速やかに電子化を進めていくべきだ。ただし、紙問題は単に電子化すれば解決できるものではない。情報を使いこなす仕組みの検討と、重要情報のセキュリティ確保を両輪として取り組んでいく必要がある」と述べている。

 具体的にテレワークを進める上で直面する紙問題について、(1)会社に行かないと仕事に必要な資料を閲覧できない、(2)いまだにビジネスプロセスに紙を使い、押印/検印文化が残っている、(3)紙にまつわる組織文化と思い込みが社内に存在するーーなどが挙がっている。

 (1)と(2)の多くはテクノロジーで解決でき、十分な実績もある。(3)が大きな課題となっているケースが日本企業に多くみられるが、新型コロナウイルス感染症への対応が当面必要となる可能性を踏まえ、全ての日本企業は「時代は既に変わった」と考えて、電子化と情報活用に向けた活動を加速させるべきだという。

 ガートナー ジャパンは、ペーパーレスの視点からテクノロジーを展開するためのロードマップを作成(図1参照)。企業は自社の取り組み状況を確認した上で、テレワークから、より複雑なプロセスを含む電子化や情報活用へ、歩みを進めることができるとしている。

新型コロナウイルス感染症:1年先まで見据えたペーパーレスとファイル活用への取り組み(出典:ガートナー ジャパン)
新型コロナウイルス感染症:1年先まで見据えたペーパーレスとファイル活用への取り組み(出典:ガートナー ジャパン)

 テレワークの段階では、「アドホックな紙のスキャン」が重要だとしている。従業員個人が保有している紙の資料類や情報漏えいのリスクがない紙文書を複合機/スキャナーで電子化し、必要に応じファイル名を付与するなどして活用する段階だという。ただし、個人ベースでの電子化を禁止すべき文書も出てくることが予想される。

 コラボレーションの段階では、紙帳票の電子フォーム化や電子ファイルベースの運用、組織的な紙のスキャンなどが重要になる。社内の各部門のプロセスに紙帳票がまだ残っている場合は、専用のソリューションを短期間で導入し、紙帳票を電子フォームに変えていく。

 また工場の現場や店舗で紙の報告書を作成したり、社内の事務職に紙文書を扱うプロセスが残っていたりする場合は、タブレット端末などのモバイルデバイスを活用して電子化を進めていく。紙文書をWordやExcelのようなオフィスツールで作成すると「文書がどこに保存されているか分からない」「どれが最終版か明らかでない」といった問題が生じる可能性があるが、タグ付けや分類、検索、ログの取得、バージョン管理といった文書管理機能を利用して対応する。

 さらにチームで共有する既存の紙文書も、テレワーク時に利用できるようスキャンしておく。こうした文書には顧客情報が含まれる可能性があるが、だからといって電子化を諦めればテレワーク時に仕事が進まない。緊急対応としては、紙文書を全てスキャンするのではなく、できる限り必要なものだけに絞る。また、電子化の目的がテレワークのみである場合は、紙文書は少なくとも当面は廃棄しない。

 一方「より複雑なプロセスへの対応」では、より高度な電子ファイル活用、電子帳簿保存法と訴訟対応、顧客などに関わる紙のスキャンなどを行う。ワークフローや文書管理機能を各企業がカスタマイズし、用途により適した仕組みを作って活用する。また、稟議書向けのワークフロー、契約書のライフサイクル管理、マニュアルや規定の作成支援、汎用的なプロジェクト管理、品質管理などの機能も活用していくのもいい。

 法令および訴訟への対応については、電子帳簿/帳票や電子契約、電子請求といったソリューションを活用する。電子帳簿保存法が適用されない契約書については、プロバイダーによる簡易な電子契約書保管サービスを活用する。これらの対応は、紙問題への取り組みを3カ月、6カ月、1年先まで見据える場合に検討する。

 さらに顧客自身が書き込む申込書など、顧客や取引先が紙を用いている場合は、電子化のハードルはやや高くなる。代表例はコンシューマー向けの保険申し込みプロセスの電子化で、ここでは紙の申込書を大量にスキャンし、複雑なワークフローとシステム連携を用いることが必要となる。こうしたケースでは、より高度な機能群を有する製品が用いられる。この段階は緊急対応の一環というよりは、紙問題への取り組みを1年先まで見据えた場合に検討する対象となる。

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