IDC Japanは5月7日、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場予測を下方修正し、2020年の同市場(支出額ベース)が前年比6.1%減の27兆8357億円になると発表した。4月時点では4.5%減(28兆2155億円)と予測していた。
製品セグメント別の最新予測では、スマートフォン/PC/タブレットなどのデバイスが24.3%減(前回予測比2.3ポイント減)、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどのインフラストラクチャーが3.9%減(同2.7ポイント減)、ソフトウェアが0.6%増(同3.4ポイント減)、ITサービスが2.8%減(同1.0ポイント減)、テレコムサービスが1.2%減(同0.7ポイント減)としている。
特にソフトウェアは、オンプレミスを中心とするプロジェクトの延期や中止の影響から最もマイナス幅が大きいという。ただ、大企業のテレワークセキュリティ投資などは続く見込みとする。デバイス/インフラストラクチャーは、サプライチェーンの混乱が拡大し、ユーザー企業側も出社自粛などによる受け入れ体制への影響が拡大していることから、下方修正を見込む。一方でITサービスは、プロジェクトに依存性の少ないマネージドサービスなどがあり影響は軽微と予想する。
新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場の前年比成長率の予測アップデート(出典:IDC Japan)
IDCによれば、6.1%減とする最新予測のシナリオは、「2020年前半で新型コロナウイルスの感染が世界中でいったん抑制され経済活動が正常化した後も局地的に感染が再発すること」、さらには「デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われること」を前提にしている。
また、楽観的シナリオ(企業、政府、消費者レベルでDX投資が活性化)では3.8%程度の減少、悲観的シナリオ(感染収束と経済回復が世界で2021年中盤以降に持ち越し)では9.6%程度かそれよりも大きな減少になると予想している。